#41「結局そこに誤差が生まれて」
〜T@Anonymity 琥珀堂店主かわうそ 主任@HAMA研〜

ホームマジックの話をしよう>#41「結局そこに誤差が生まれて」


プレイバック、グランプリ岡山。(HAMA研の「GP岡山編」、そして前回と併せてご覧下さい)
持ち込んだステロの前に立ちふさがる誤算。
たどり着いた≪火薬樽/Powder Keg≫は、しかしわずかに遅かった。
その差を埋めるために必要だったものはなに?

つよ: 似たようなデッキとか見た?
それこそ《猫族の戦士ミリー/Mirri, Cat Warrior》が積まれてるようなデッキとか。
主任: いや…同系列のデッキはいくつもあったけど、全体に軽めにシフトしてるデッキが多くて。
似たような形ってのは無かったかと。
T: 《ミリー》はいなかったですね、さすがに。
《シヴのワーム/Shivan Wurm》とか重い同型メタをしてる人はいたけど。
主任: 似たようなデッキはいくつも見もしたし当たりもしたけど、負けてないですね。
かわ: 同じデッキには絶対勝つっていうコンセプトで組まれてるから。
T: たぶん同型では一番強かったですよね。あの形は。
かわ: だからRDW(注1)とTWO DEUCEには当たれば絶対負けない。
で、残りのデッキにはサイドで何とかするっていう。
T: サイカ(注2)にも、まだ《火薬樽》積んでない奴には全然普通に勝てたし。
かわ: あー、でも結局、俺2回当たって2回負けて2回《火薬樽》出されて負けてるからな。
主任: 僕も《火薬樽》出されたけど、ほっといても《獣群の呼び声/Call of the Herd》引かなかったんで問題なく勝てた(笑)。
かわ: あーうんそう(笑)。俺ん時はたまたまやたら《獣群の呼び声》とか《樹上の村/Treetop Village》とか引いちゃって止められて、みたいな感じで。
主任: そうそう。だからさ、《獣群の呼び声》を早々に切ってないっていうのが後悔かも、俺は。
T: 《火薬樽》があんなに入ってくるって思わなかったっていうのが俺の中であって。
せいぜいサイドだと思ってたから。
主任: そこはもう僕ら絶望的に遅れてるよね
T: やっぱそこは確かに。
でも一応サイカにもUGにもどっちにも勝ててはいるんだよなー。
そんなに分は悪いっていうわけじゃなかったから。勝ち越せるっていうレベルではあったし。
主任: でも僕らあれだけきっちり狩りにいくターゲット絞ってるから勝ち越せるじゃダメだったんだよね。
最低7:3〜8:2に持っていくべきだった。
T: サイカも《火薬樽》入っないのには7:3で勝てるけど入ってる奴は6:4になっちゃうから、サイドでもうちょっと対策するか《獣群の呼び声》抜くかして、確実に7:3か8:2まで持ってくべきだったなー、と。
かわ: 結局、だから、そこの問題点はサイカを煮詰める人がいなかったじゃん。
T: うん、そう。詰めてないからメタデッキが2週間前のPTQとかそのまんまで止まっちゃってー、みたいな。
かわ: そのままで止まっちゃって。で、それと(改良を)進めたデッキと元のままのサイカでやってるから、結局そこに誤差が生まれて「じゃあステロでいいじゃん」みたいな。
主任: そりゃ「ステロでサイカには勝てるよ」みたいな感じになってたね。
つよ: サイカもサイカで調整をするべきだったと。
T: 結果的に何を選ぶかはともかくとして、他のデッキも同じくらい完成度を上げていって(他のデッキと)当てていって、その上で勝てるデッキっていうのをやれれば理想だったんだけど。
主任: 俺の担当分のデッキは全部一応逐次追いかけて変更したり調整したりはしてたんだけど。
俺が持ってないデッキまではもう手ェ回らんからね。
それに俺がイロモノっていうか各種コンボとか妙なデッキ担当で修行積んじゃったせいで他の誰もイロモノ回す練習してなかったから一人だけでその手のデッキの調整から何から引き受けちゃって、ますます手が回らない。
T: 俺もステロの方に集中してて、他のデッキまでメタの最前線にしようってのは無かったな。
「前の奴の完コピでいいか。これがたぶん多いだろうし」みたいな。
主任: 新しいの上がってきたら変更するし、それに合わせて自分でやってるトリコ(注3)も変えるし、みたいな。
俺もその分には全部変更してたんだけど。エンチャントレスとかも。
でもサイカは俺の担当じゃなかったからなあ。
「サイカでは上に入るのは無理だ」って思ってたから、ハナっから僕ら誰一人としてサイカで出る気なかったのもサイカの調整進まなかった理由の一つだよね。
T: 結局PTQのコピーデッキで終わってしまったからな。
「この結果を見てどういう風にデッキ変えるだろう?」まではやらなかったからな。
そこは不満っちゃあ不満だな。
主任: それがかなりデカいんだと思うよ。
それをやる時間がなかったのは、人手が…戦闘員が足りてないってことでしょ
やっぱりそこに行き着くかもしれん。
かわ: もう1人2人欲しかったね
T: かわうそさんも普通に店があるからそんなに時間取れるわけじゃないし。
俺も主任さんとばっかりやってたし。
かわ: 3人でやってるというよりも、俺は店にいて、主任さんはZEROにいるから、T君がどっちかに行った時どっちかとやるみたいなね(笑)。
T: そうそうそう(笑)。二人が(かわうそと主任が)やるってことはあんまりなくて。
俺が移動して移動して、でやってたから。
主任: 俺が週末来てたまにやってたくらい?
つよ: その辺に不満が残ると。

専門用語が飛び交う今シリーズ。デッキの名前がさっぱり分からん!という方はこちらへどうぞ。
沖縄からグランプリへ行く人はそう多くいないので、本番へ向けた調整相手も人数が少なくなりがち。
なじみのあるスタンダードならまだしも、エクテンやブロック構築といったフォーマットになると、他流試合はまず望めません。
自然、遠征組だけで対戦しデータ取りをするようになるわけですが……3人っつのはやっぱキツいよなあ。

注1)RDW
 《ジャッカルの仔/Jackal Pup》、《モグの狂信者/Mogg Fanatic》等の軽量クリーチャーによるビートダウンを《略奪/Pillage》、《石の雨/Stone Rain》、《からみつく鉄線/Tangle Wire》等のマナ拘束、《炎の印章/Seal of Fire(NE)》等の火力で後押しするデッキ。
 エクステンデッドでは割とポピュラなアーキタイプ。

注2)サイカ
 《サイカトグ/Psychatog》+《激動/Upheaval》コンボを内包したカウンターデッキ。エクステンデッド環境では《蓄積した知識/Accumulated Knowledge》+《直観/Intuition》、《嘘か真か/Fact or Fiction》等のドロースペルが強力な為、コンボを決めずとも《サイカトグ/Psychatog》が致死量サイズになる事もしばしば。
 また《狡猾な願い/Cunning Wish》経由での《死体のダンス/Corpse Dance》による奇襲モードや各種ユーティリティインスタント呪文へのアクセスによる柔軟性も持つ。
 これまたエクステンデッドでは人気のあるアーキタイプ。

注3)トリコ
 所謂トリコロール(白青赤)の3色デッキ。《翻弄する魔道士/Meddling Mage》や《火炎舌のカヴー/Flametongue Kavu》といったコントロール的側面を持つクリーチャーが多数含まれているが基本的にはクリーチャー戦での勝利を目的とする。

(解説:けんつよ)

続く

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