マヅックの話をしよう 
第二回 リーダー@HAMA その2                      
文:主任@HAMA研

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前回に引き続きリーダーの話を聞きます。
周囲に引き込まれる形でついにマジックを始めてしまったリーダー。
経験則でなんとなくルールを覚えるまでが前回のお話。
さて、ルール覚えたての男の前に続々とたちはだかる壁とは?

主任: そうやってなんとなくルールを覚えたあとはどうしたの?
いきなり知らない人に勝負申し込んだりとかハっちゃけたことしてた?
リーダー: いや、さすがにそれはない(笑)。
やっぱ普通にっていうか、自分にマジック教えてくれた人と遊んでた。それこそMさんとか。
で、Mさんといえばコレが第2の壁ですよ。僕の心のフタをカパっと開けちゃった人だね。
山内開闢〜って。(※1)
主任: リーダー開闢って漢字で書ける?
リーダー: 無理無理。意味はわかるけど。ちなみに僕、憂鬱も書けない。
で、Mさんが…なんかねえ、いつも僕らが使ってるデッキよりもひとつ上のデッキを持ってくるのよ。
主任: ひとつ上野オトコですか。
リーダー: そうよ〜。あの頃の僕らってみんな皮っかぶりですよ。
そこへ一皮ズルリと剥けたデッキを持ってきちゃうんですよ!?強くてね〜。
主任: 当時強かったデッキって何?カウンターポストとか?(※2)
リーダー: いや…ステロイドだったと思う。僕のデッキ黒単だったから手も足も出んかった。
クリーチャーは全部燃やされるし、あっちの生物デカイし。
主任: 黒なのに除去とか入ってなかったの。
リーダー: うん、持ってなかったから(笑)。《闇への追放/Dark Banishing》 が1枚だけ入ってかな?
あ〜、《麻痺/Paralyze》 は入ってた。でも全部役に立たなくてね〜。
主任: 何で?あの頃の《麻痺》って黒ウィニーには普通に入るくらい強くなかったっけ?
リーダー: それがね、貼ることなく終わるのが多かったのよ。
ステロから出てくるクリーチャーに3マナ2/2で側面攻撃ついてて対象にならないっていうお馬鹿がいて、いっつも最後はそいつに殴りきられて死んでた。
主任: 《ジョルレイルのケンタウルス/Jolrael's Centaur》 か。
リーダー: そう、超強い。もうウンザリ。それでもう、早々に黒単には見切りをつけちゃった。
「いまどき黒単なんてダサい、流行らない、これから時代はステロだね。」って確信した。
で、自分で組もうと思ったんだけどそのとき足りなかったカードが《リバー・ボア/River Boa》と《ジョルレイルのケンタウルス》と 《火葬/Incinerate》の3つ。
主任: 当時のコモン3強ね。
リーダー: そう。だから無い。お店行っても無い。そして誰もくれない。在庫無いから。
しかたないから、大学でいっしょにマジックやってた連中に
「お願い、《リバー・ボア》くれ!!」って必死になって頭下げた(笑)。
主任: そんなんで貰えたの?
いや、タダでくれる訳ないから「お願いします、次のレポート手伝いますからお願いします」ってギブアンドテイクで条件出して拝み倒した。
主任: 「必ず体で返しますから」って!?
リーダー: そう、結局それで《リバー・ボア》貰えた。おかげでめでたくステロも組めちゃった。
そこから僕の中で第1期マジックブームがスタート。
スキあらばマジックしてた。休み時間とか、昼飯時とか。それこそ授業中もマジック。
主任: みんなこの手の悪事はたらいてるんだね。
ダメ人間だ(笑)。
リーダー: やるでしょ。
後ろの方の先生から見えない席に座っちゃマジック、OHPとかスライドとか見せるのに教室が暗くなったら「それ、今だ!」って勝負し始めたり。だいたいテンペスト発売直後だったと思う。
主任: あ、それは始めてから何ヶ月か経った話なんだ。
まだステロ使ってたの?
リーダー: いや、テンペスト出て「あ、シャドーって強いなあ。時代は黒単?」って黒ウィニーに戻ってた。
主任: 流行らないんじゃなかったのかよ。
リーダー: ……あのころの僕、節操なかったんだよね。(※3)
とにかく黒ウィニーがアツイと思われたの。自信作。
で、授業中に隣の席の奴と勝負してて…僕が黒ウィニー、相手が白ウィニー。相手が《平地/Plains》置いてきたからこっちとしてはねえ「シメシメ、白ですか!?」って《ダウスィーの怪物/Dauthi Horror》《邪悪なる力/Unholy Strength》乗せて殴りに行ったのよ、YES!!YES!!!って。(※4)そしたらあの野郎《サルタリーの修道士/Soltari Monk》に普通に《浄火の鎧/Empyrial Armor》乗せてくるんだよね〜(笑)。激しく強い。っていうかあり得ん
主任: そりゃゲームセットだわ(笑)。こっちは貧弱なコモンで頑張ってるのに豪華に殴ってこられるのはキツイね。
リーダー: もう、それ見た瞬間「コレ最強!時代は白ウィニー!?」って白ウィニーのパーツ集め始めた。
主任: ホントに無節操だね。
リーダー: だってまだネットとかでデッキレシピ落ちてるような時代じゃないし…あってもDojoくらいだったし。
今なら環境にどんなデッキがあって、あんなデッキとこんなデッキで対戦するとあんなデッキが有利とかいう情報も簡単に手に入るけど、テンペストのカードリストすら手に入れるのが困難な時期だったんよ。
自分の周囲にあるデッキがすべてだったワケで、強いデッキを見たらそりゃマネするよ。
で、目の前に白ウィニーっていう強いデッキがあって、それに勝ちたいなら自分がおんなじデッキに乗ればいいってのが僕の考え方だったから、強いデッキ見たらすぐにそれに飛びついてた。
主任: ある意味エライかも。
白ウィニー殺したかったら《夜の戦慄/Dread of Night》とか《憂鬱/Gloom》とかに短絡的に走りそうだけど、そっちには行かなかったんだね。
世の中にはメインから《死の掌握/Deathgrip》4枚積んだ人もいた事だし。
(※5)
リーダー: なんか知らんけど、そっちの路線には行かなかったねえ。
とにかく目に入る強いデッキを自分も組みたいから「アレをくれ〜、ソレをくれ〜、俺コレ出すからさ〜」って周りの人たたいて歩いてた。
まだカード資産とかそんなにあるわけじゃないからトレードとか成立するわけないのに、身の程知らずに「白ウィニー組みたいから《ハルマゲドン/Armageddon》出して〜」って。
でも周りの人は自分が使うから持ってるんであって余らしてる人とかいなんだよね。
しょうがないからいつもの面子以外でカードをトレードしてくれる人を探さないといけなくなって、そこからカードショップに頻繁に出入りするようになった。
主任: あ、それまではまだ友達と学校の中だけでやってたんだ。
リーダー: 基本的にはそう。
それからシルバーとか行くようになって、あとはシルバーの店長の家にも遊びに行くようになった。
主任: 家に?店長の家?
リーダー: そう、何かいい人でね〜店の客でよくいる人たち……それこそ邪黒教団の人たちとかもいてみんな店長の家で遊んでた。弁当とかまで出てたからね、今考えると非常にいい時代だよね。
最初はトレードするのが目的で出入りするようになったんだけど、そのうち顔が知れて仲良くなると遊んでもらったりするじゃんね。
しばらくすると店長にも自分から「勝負してくださいよ〜」って声かけられるようになったんだけど全く勝てない。
店長がMさんに続く壁になったね。
主任: 第3の壁?
リーダー: そう、Mさんがフタ開けた人で店長が道を舗装した人って感じなのかな?
主任: いや、かな?って僕に聞かれても困るんだけど…。
リーダー: とにかく更なる壁だったんよ、店長が。
主任: 強かった?
リーダー: もちろん強かったんだけど、それ以前に出してくるカード全部ねえ…見たことないのよ
始める前に「そのデッキ何色ですか」って聞いたら「緑だよ」って言われたんだけど、1ターン目に《森/Forest》を置いてこないのよ。
《知られざる楽園/Undiscovered Paradise》から《極楽鳥/Birds of Paradise》出されてWhat?って思考停止。
次に出されたのが《クウィリーオン・レインジャー/Quirion Ranger》
こっちもクリーチャー出したら燃やされたり殺されたりして何ターンかしたら「今、墓地にクリーチャー何体?」って聞かれて「自分は6体ですね」って答えたら、「じゃ、10/11やね」って《ルアゴイフ/Lhurgoyf》出されて愕然。
主任: その構成だと店長のデッキは5CGか。(※6)
まあ、またずいぶんとデカイ《ルアゴイフ》ね。
リーダー: うん、対処不能で除去できるカードもなし。理解不能、まさに未知との遭遇ですよ。
カードもよくわからん上にデッキの動きはもっとわからんし
もちろん負けましたよ。考えさせられたね。
主任: 壁の高さを。
リーダー: うん。
あ〜、やっぱりカードショップの店主は強いなあ!って。やっぱりああでなくては!!
主任: (絶句&爆笑)結論はそれかよ!
それになんだよ、「ああでなくては」って。自分もカードショップの店主になろうと思ったの
リーダー: あ、そうではない。
主任: じゃ、カードをたくさん持ってないといけないってこと?
リーダー: 今になって考えたらプレイングのヌルさとかもあったんだろうけど…とりあえず自分の知らないカードが存在してるってのがまず不満としてあったし、カードをたくさん持ってれば持ってるほど組めるデッキの幅も広がるなあってのは実感した。

さすがは思いつきと脊髄反射だけで喋る男リーダー@HAMA研。
話は面白いものの、あっちこっちに話が飛びまくって一本に並べなおすのに一苦労。
またもや己の筆力のなさを痛感することとなってしまいました。
次回は「リーダー」誕生の瞬間…の予定。

(※1)開闢…「宇宙開闢」などというように使用するようです。
何かを開くとか始めるとか、そんな意味っぽい。でも各自辞典等で調べたほうが確実ですよ。

(※2)カウンターポスト…かつて環境をお寒いものにしたパーミッションデッキ。
色は青白、カウンターと除去のカタマリのようなデッキで《Kjeldoran Outpost》で生産されるトークンで序盤を耐え、トークンが貯まったら圧殺する。

(※3)節操なかった…今もそんなに節操あるほうじゃないと思いますよ。

(※4)YES!!YES!!!…リーダーが殴りに行くときの掛け声。
元々はイギリス系ロックバンドのファンの言動からと思われますがビーバス&バッドヘッドが元ネタの可能性も否定できない。
HAMA研にはなぜか殴るときにこの掛け声を使う人が多い。

(※5)
メインから《死の掌握/Deathgrip》…かつて所長がやった実話。
よっぽど緑を殺したかったようで。

(※6)5CG…緑を中心に組まれたクリーチャーで場をコントロールするデッキ。
特殊地形を多用しすることで緑の優秀なクリーチャーベースに5色の便利呪文とクリーチャーを散らし、メインから多彩なデッキに対処できるのが魅力だった。

続く