#特2「ミスターカガワに挑戦状! 本番で叩き潰す!」
〜YAMAUCHI(∀)杯第二回予選優勝者 HPL〜

ホーム大会レポートYAMAUCHI(∀)祭第2回予選(エクステンデッド)>勝利者インタビュー


クイックインタビュー第二回。3月10日の優勝者はHPLさん。
環境分析あり、デッキ解説あり、物騒な宣言ありと
本編もかくやのボリュームですが、皆様最後までお付き合いください。
それじゃHPLさん、けんつよさん、準備OK?


●デッキ選択理由
つよ: えー、早速第二回優勝者HPLさんにお聞きしたいと思います。ええと、優勝者クイックインタビューということなんですけども、まず今回のスーパーグロウ(注1)の選択理由が聞いてみたいなーと。
HPL: まず一番最初は、エクステンデットの環境で一番いけそうだったのがザ・ロック(注2)だと思ったんですよ。本当はね。
けど、ザ・ロックを作ってみたりとか、主任が作ったタイプを借りてやってみたりとかすると、すこぶる相性が悪いと(笑)。「
なんでこんなにこのデッキと相性悪いの俺!?」とか思って。
つよ: デッキと人間が合ってなかったと。
HPL: もうジャストミートに合ってないのよ。
でさ、「じゃあどうしようか? スーパーグロウあるよね。貸して」ってやると、グルグル回るから、じゃあスーパーグロウにしようっていう単純なことなんですけどね。
つよ: なるほど。自分の手にフィットするデッキ選択は大事ですしね
HPL: まあ、今の環境、≪冬の宝珠/Winter Orb≫が効くじゃないですか。
だから、≪冬の宝珠≫がメインで入ってて、それに対して拘束力が無いように作られてるから「あ、そういうのが相性的には素晴らしいデッキなんじゃないか」と思ってたんで作りましたね。
●アレンジポイント
つよ: まあ、スーパーグロウなんだけど、パッと見、メイン投入の≪悟りの教示者/Enlighted Tutor≫が目を引くわけ。これは?
HPL: 最初は≪レガシーの魅惑/Legacy's Allure≫が3枚投入だったんですよ。
つよ: メインに!?
HPL: メインに。
そのタイプだとザ・ロックとかのクリーチャーデッキに対しては非常に強かった。
でもオース(注3)とかのパーミッションデッキには非常に弱いと。
で、それでバランスを取るために≪浄化の印章/Seal of Cleansing≫2枚入れようかって考えてたところに、じゃあ
≪教示者≫を入れてたらサイドボードに1枚ずつ投入してても強いんじゃない?っていう。
それが、まあ、一番の理由ですね。
つよ: その分、よくある通常のバージョンより≪手練/Sleight of Hand≫とかクリーチャーとかが減ってるじゃないですか。
それはやはりクリーチャーはその数で大丈夫っていう結論だったんです?
HPL: そういう結論ですね。
まず≪クウィリーオンのドライアド/Quirion Dryad≫は、使ってて判ったんだけど、思ったよりは活躍しないんで、そんなに枚数入れる必要性はないと自分なりには思ってて。
結局そこに≪ドライアド≫は3枚くらいは最低限必要なクリーチャー数はあるんじゃないかと。
つよ: ふんふん。
HPL: いや、最初は赤単にすこぶる弱いってことで、もう≪ドライアド≫は全抜きして≪ガリーナの騎士/Galina's Knight≫4枚投入か?って思ったくらいで(笑)。
まあさすがにそれはってことで。
●サイドボーディング(前編)
つよ: で、毎回聞いてるサイドボードの解説なんですけど。
じゃまずは≪赤の防御円/Circle of Protection:Red≫から。まあこれは赤対で。これはやっぱり≪教示者≫が入ってるから、1枚だけ引いてくるんだったら≪寒気/Chill≫よりは≪防御円≫ってこと?
HPL: それもありますけど、一つあるのは≪紅蓮破/Pyroblast≫があるんですよ。
≪寒気≫は≪紅蓮破≫に3マナで壊されるんですよ。ってことを考えると≪防御円≫。≪Anarchy≫はカウンターできるはずだから。
そのかわり≪冬の宝珠≫は2枚抜いて抜いて1枚だけ残す
つよ: このデッキのサイドからの≪防御円≫は、相手は読みきれないかも。確かにね。……あと俺的には≪水流破/Hydroblast≫なのはなんで? ≪寒気≫じゃないんだ? よくスーパーグロウは赤対策には≪寒気≫が入ってるけど。
HPL: ああ。昔から≪寒気≫ってあんまり好きじゃないんですよ。
素直に土地引かれてしまって≪寒気≫が何の役にも立たなかったことが多々あったんで。
≪水流破≫なら、例えば1ターン目で置かれた≪ジャッカルの仔/Jackal Pup≫とかも除去できるし。
つよ: ああなるほど。≪水流破≫には≪剣を鋤に/Swords to Plowshares≫的な役割も期待しているわけだね。
HPL: そうですね。≪剣を鋤に≫もサイドに1枚さらに足して入れ≪水流破≫も4枚。
つよ: じゃあ≪剣を鋤に≫は?
HPL: 本当はメインに4枚入れたかったんだけど、≪レガシーの魅惑≫は魅力的だったんで。本当はどっちにするか最後まで悩んだんですけど。そこに≪教示者≫がメインにあるから≪レガシーの魅惑≫かなって感じだったんですよ。
つよ: なるほど。ちょっと、サイド後のメインデッキって感じするね、このデッキ。……で、≪水流破≫。ていうかパッと見、警戒してるのは赤しか目に付かないんだけど。
HPL: ええそうです。赤と、あとオース系とかのコントロールデッキ。
つよ: オースと当たった場合はこれは何が上がるの?
HPL: ≪浄化の印章≫3枚! それと≪ファイレクシアの炉/Phyrexian Furnace≫。
●サイドボーディング(後編)
つよ: ≪日中の光/Light of Day≫は何を嫌ったの? 個人的に今の環境で黒いクリーチャーはいないんだけど。
HPL: ワイルドゾンビ(注4)ですね。
やっぱり、あの、ゾンビはちょっと勘弁なんで。
いくらなんでも並べられたら何もできないので。一匹ならなんとかなるんですよ。でもゾンビはもうガラララララって出てくるじゃないですか。それを考えると1枚。≪教示者≫を入れてる上で、ってことですね。
あと≪ファイレクシアの炉≫も入れてるから、そういうものに対しても対策できるし。
つよ: ≪プロパガンダ/Propaganda≫は何系対策なの?
HPL: もうクリーチャー一連ですね。
もともとこのデッキはウィニーに対しては微妙に弱いじゃないですか。攻められたときにはちょっと厳しい。でも≪プロパガンダ≫を1枚入れてると、デフォで入ってる≪冬の宝珠≫との相性でウィニーデッキ戦の時に有利に働くな、って。
≪目くらまし/Daze≫が無駄にならないんですよ。ウィニーだから。
香川: 同型の時もあるんじゃない?
HPL: 同型もあるね。もちろん。……同型にはオーブは全抜きするけど、土地の数も一緒で条件は同じだから、相手だけ重くなるじゃないですか。
香川: あとは殴りあいで勝てば。
HPL: うん。
つよ: なるほど。……個人的には、……「この構成でよく回るよなあ」と思ったわけ(笑)。
俺にはこれは回しきれない気がする。
HPL: (笑)すっと前にエクステンデット組んだ時からこの形になってるから、相当長いことやってるよ。問題は無かったし。一ヶ月くらいは寝かしたままだよ。
最初に作ったミラクルグロウの時点から色々やってたから、そこそこ動かし方とか、例えば≪手練≫の2枚で何を取るかとかを判ってたんでしょうね。他の人よりは判ってるつもりですよ。
つよ: なるほど……。
HPL: …………微妙?(笑)
つよ: いや、予想だにしないチューンがされててドキドキしてる。
実際これでアンチグロウ系のオース2人とスライ(注5)2人を倒してるから。俺的にはわけが判らないんだけど。
でも、これだけメタ的に嫌われててグロウが勝つっていうのも恐ろしい話だね。
HPL: なんか、ね。なんか一発目でオース全然貼られなかったから。
香川: いや、貼られたけど割られたんだよッ!
全員: ハハハハハハ。
主任: 被害者の証言1(笑)。
うえけい: ≪翻弄する魔道師/Meddling Mage≫で禁止されてたんですよ(泣)。
全員: ワハハハハハハ。
主任: 被害者の証言2(笑)。
つよ: 恐ろしい話だ。
HPL: ……ねえ(笑)。
まずこのオース2人には、1戦目は必ず負けたんですよ。でも2戦目ねえ、
≪浄化の印章≫4枚入れたら4枚引ききったんですよ
あとね、2ターン目に必ず≪翻弄する魔道師≫出したりとか≪浄化の印章≫出したりとか。
なんか手札がテンパってんですよね。≪土地譲渡/Land Grant≫撃って手札を相手に見せても、相手が絶望的な表情にしかならないとか(笑)。
……
とりあえず≪浄化の印章≫4枚態勢が非常に強かったですね。前半で相手をロックさせるオースの要因を全て潰すことができるデッキなんで。
つよ: うん。今のメタ的にスーパーグロウはエンチャントを警戒した方がいいね。
HPL: ≪目くらまし≫が前半でもの凄く炸裂するから。そうですね。それで、とても効きましたね。
つよ: なるほど。非常に興味深い。
で、結局今日抜けたのが、グロウとオースとスライ一人ずつだよね。……つまらないな(笑)。
●本戦へ向けて
つよ: デッキに関する感想としては「≪教示者≫は強かった」という方向で一つ。
……一応、まあ、本戦に出場が決まったわけだけど、それに向けての意気込みを。
HPL: まさかエクステンデットで突破するとは思ってなかったんで、頭の中では次回のオデッセイブロック限定構築のことしか考えてなくて。
つよ: もうオデッセイのことは忘れて(笑)。
HPL: いい加減スタンダードのことも考えないといけないかな、と。
つよ: なるほど。……一応ね、ここだけの話さ、記事としては「チーム山内ex皆殺し」とかいう発言があると、もう太字。
ていうか今回のタイトル。できればプロレスのノリで。「奴は殺る!」「頂上決戦!」とか訳のわからない展開に持っていきたいんだけど(笑)。
そういう発言はいただけないんでしょうか(笑)
HPL: いやー。……とりあえず、じゃあ一言。
香川さん、待ってますんで」。
全員: おおおおおおぉ〜。
つよ: ミスターカガワに挑戦状! 本番で叩き潰す!」ってことで。
主任: いや「待ってる」としか言ってないですよッ!
つよ: うわあ、オトナの戦いだ。ドキドキ。
……じゃあそんな感じで。遺恨マッチもできたことだし。じゃあ本戦頑張ってください。お疲れ様でした。

すいません、タイトル嘘でした(泣)。
イマカラシマセンゴメンナサイ。


第3回へ続く


(注1)<ミラクルグロウ/Miracle Gro スーパーグロウ/Super Gro>
 ミラクルグロウは、プロツアーニューオリンズでAlan Comerが使用した、土地を極限まで切り詰めた青緑Fishが原型。GP仙台でMike Longが使用したことで一般化し広まった。もともとはアンチドネイトデッキとして作られ、主に軽量のビートダウンクリーチャー(≪クウィリーオンのドライアド≫、≪熊人間/Warbear≫、etc)、ピッチカウンター(≪Force of Will≫、≪目くらまし/Daze≫)、ドロー操作(≪渦巻く知識/Brainstorm≫、≪噴出/Gush≫、etc)で構成される。
 これに白を足し≪剣を鋤に/Swords to Plowshares≫、≪神秘の処罰者/Mystic Enforcer≫を投入し、同型への耐性を高めたのがスーパーグロウであり、前シーズンのエクステンデットでは後半メタの中心となった。

(注2)<ザ・ロック/The Rock and His Minions>
 一般にはマルカ・デスとも呼ばれる。黒緑のクリーチャーのコントロールデッキ。≪極楽鳥/Birds of Paradise≫、≪根の壁/Wall of Roots≫という環境最高のマナ加速から、2種のスパイクと≪ファイレクシアの疫病王/Phyrexian Plagueload≫で状況をコントロール。フィニッシャーは≪魂売り/Spiritmonger≫が一般的。ウルザズサーガ(US)・メルカディアンマスクス(MM)期の頃のスタンダードにすでに存在していたらしいが、前シーズンの中期頃から一般的に。
 正しく調整されていれば、意外にもほとんどのデッキに対し互角以上に戦えるのが魅力である。また≪ヤヴィマヤの古老/Yavimaya Elder≫+≪黄塵地帯/Dust Bowl≫コンボは、ある意味このデッキのキモである。

(注3)<オース>
 ≪ドルイドの誓い/Oath of Druid≫を中核としたパーミッションデッキ。ノーコストで登場する≪変異種/Morphling≫がフィニッシャー。環境がクリーチャーデッキ寄りになると台頭してくる、ある意味エクステンデットの象徴的なデッキ。現在のバージョンはメイヤー・オース(≪悟りの教示者/Enlighted Tutor)搭載のオース)のような5色ではなく、白青緑のトリーヴァカラーが一般的。環境への正しい理解がないと構築するのは難しい。

(注4)<ワイルドゾンビ>
 前シーズン前半のリアニメーター系のデッキから改良され登場した黒緑のデッキ。≪隠遁ドルイド/Hermit Druid≫+≪Krovikan Horror≫≪ゴブリンの太守スクイー/Squee,Goblin Nabob≫コンボからの≪野生の雑種犬/Wild Mongrel≫、≪ゾンビの横行/Zombie Infestation≫エンジンへとつなげる。
 4枚の≪吸血の教示者/Vampiric Tutor≫から、多様なカードをもってこれるのも魅力。また除去カードとして≪炎の嵐/Firestorm≫が投入されていることが多い。日本では石田格のバージョンが有名。

(注5)<スライ>
 解説不要なほど有名なアーキタイプ。赤のウィニー(≪ジャッカルの仔/Jackal Pup≫、≪モグの狂信者/Mogg Fanatic≫)+バーン(≪火葬/Incinerate≫、≪火炎破/Fireblast≫)デッキ。最新バージョンではオースを警戒し≪発展の代価/Price of Progress≫をメインに入れたバーン寄りの調整が多い。また≪火薬樽/Powder Keg≫をサイドに入れ、グロウをメタっているプレイヤーが多く選択する傾向があるようだ。

(解説:けんつよ)