HAMA研的初心者向けブードラ講座(5) |
いちいち「初心者向け」とことわりを入れるのがめんどくさくなってきたのでタイトルを変えてみました。 今回はより実際的にドラフトにおけるデッキがどんなものなのかを中心に。 |
(1)〜(4)では限定戦においてはどんなカードが強いのかを知ろうということを中心に進めてきました。 で、今回からは実際にデッキを組むのはどんな感じなのかという話に進んでみたいと思います。 ・・・と、いう流れで話を進める「どうカードを取るのか?」という話に行くのが順当ですが、デッキ自体がどんな風に出来上がるのかをわからないままいきなりカードを取ってもイメージがつかめないと思います。 そこで、先に完成したデッキのバランスがどんなものになるのかという話から。 さてさて、(2)の回で少し触れていますがもう一度デッキ内のカードバランスから。 土地:16枚〜18枚 非クリーチャー呪文:7枚〜9枚 クリーチャー:最低13枚以上 これまた目安でしかないんですが、先人たちが苦労の末に割り出したバランスなので参考にして損はしません。 上から順に見ていくと、まずは土地。 デッキ40枚中16枚〜18枚はパーセントでみれば40〜45%くらい。 構築戦では60枚中20枚〜24枚程度。 比率にして36〜40%で収まっているのを考えるとこれはかなり高め。 限定戦は基本的にクリーチャー同士のどつきあい。 毎ターン、スムーズにデッキを回していけないと死につながりかねないので土地が途中で止まってしまう事態は避けたいトコロ。 また構築戦ほどマナカーブをキレイに揃えることは難しいのでマナ源には多少余裕を持たせておいた方が無難、というのもあってのこの数字です。 次に非クリーチャー呪文。 前回で見た除去やクリーチャー支援のカードがココに入りますが、これが7枚〜9枚。 基本的に呪文の効率はクリーチャーよりも悪いので(呪文は使い切り、クリーチャーは除去されるまで繰り返し使用可能)呪文だけで勝つと言うのはかなりキビシめ。 これらはクリーチャー戦の補助で使うのが基本です。 直接戦力よりも補助の方が多いのでは突破力に欠けるので、この程度の枚数が妥当じゃないでしょうか。 最後にクリーチャー。 クリーチャーは最低13枚以上としていますが、これは「13体はいないとデッキとしてツライですよ」ということです。 兵隊がいないことには戦争ができません。 実際問題として、クリーチャー13枚というのはかなり少ない数字です。 他にドロー強化かトークン生成か、クリーチャーの数を水増ししてくれる手段がないと兵隊不足で困ること請け合い。 もっと余裕を持って15体前後は確保しておきたいところです。 枚数のバランス自体は上のことさえ気をつけていればそんなに難しくないかと。 問題はマナバランスというヤツです。 まずは色マナのバランスが問題。 単色でデッキがドラフトできていれば問題ではないです。 しかし実際にドラフトをやってみると、単色でドラフトするのは厳しいモノ。 8人中、誰か1人はあなたと同じ色を取っているものなのでカードが足りなくなるのが普通。 除去が数多くある色ならば当然人気が高いので尚更。 また、色によっては厄介なパーマネントに触れないので他の色を足す必要があったりで、限定戦においては多色デッキになることがほとんど。 しかし、無闇に色を増やすのは色事故の元凶。 事故を防ぐ観点から考えると二色程度に抑えるのが無難です。 場合によっては三色にならざるを得ないこともありますし(他の色のクリーチャーを足さないと13体を割り込んでしまうときなど)、使用するブースターが多色化を推進してたりもすることもあるので(ラヴニカブロックなど)、絶対に二色…ということではありませんが色数が少なければそれだけ色事故の確率も下がろうといもの。 それだけではなく、事故る確率をもっと下げるテクもいくつか知られているのでここでついでにご紹介。 まず避けるべきは色の均等化。 二色ならまだしも、三色デッキで各色全部同じ枚数となるとデッキの動きが全く安定しなくなるのでマストで回避したい事態です。 どれほど強いカードでもプレイできないならば、それは持ってないのと同義。 なるべくカードを手札に腐らせないように色の配分には気をつけるべきです。 色の均等化を避ける簡単な方法はメインカラーを一色決めて、サブカラーはマナコストにシングルシンボル(マナコストに色マナが1個しか入っていないもの)のモノのみにするというもの。 たとえば白赤の2色で組んだ場合、1WWWや2WWといった色拘束の強いカードは白だけにして赤は1Rや4Rのものだけにするということです。 枚数も主色の枚数を多めにして、捕色は少なめにすることでさらに事故を減らせます。 たとえば白赤の二色で組んだ場合、1WWWや2WWといった色拘束の強いカードは白だけにして赤は1Rや4Rのものだけにするということです。 使用枚数もメインの枚数を多めにして、サブカラーは少なめにすればさらに事故を減らせます。 構築環境の場合、コストが2WWWと2GGGのカードが一つのデッキに共存していても《極楽鳥/Birds of Paradise》や多色地形を駆使して強引に色マナを確保できますが、限定戦ではそういったカードが確保できないことも多いので無理は避けた方がいいでしょう。 ドラフトの早い時点でメインカラー、サブカラーを決めてサブカラーはシングルシンボルのものしか取らない、使わないという形にすることで楽に上のような状態に持っていくことができます。 もし、どうしても複数の色が同じくらいの枚数になってしまう時はなるべく色拘束の弱いカードを多用することでも事故を減らすことが可能。 とはいえ強いカードというものはだいたいダブルシンボル以上になるもの。 その場合はWWのカードは実質2Wから3Wのカードと同じくらいと見なしてデッキを組むことでも事故は減らせます。 WWを2ターン目に出せるかはアヤシイけれど4ターン目くらいになら出せるでしょ、ってことですね。 そんな努力もむなしく追い込まれた厳しい状況下、どうしても三色目を足さなければいけなくなった時には極力その枚数を減らすべきです。 かつてブライアン・ワイズマン師父は「三色目のカードは最大4枚まで、3枚以下がベスト」とおっしゃいました。 ウルザブロックの時のシールド戦においての発言ですが、コレは限定全般で参考にしていいと思います。 また「多色デッキの土地バランスは三色目の土地は3枚。 40枚中、土地が17枚の場合8枚、6枚、3枚、もしくは7枚、7枚、3枚程度にしておくと事故りにくいヨ~」ってなコトもおっしゃってたりするので覚えておくとイイコトがあるかもしれませんね。 ちなみに二色の場合の土地配分は17枚中「10枚、7枚」か「9枚、8枚」というのが比較的多いですが、そこは取れたカードの内容やドラフトしているパックの性格によっても変わってくるので、自分のデッキに入ってるカードの枚数と相談して決めてください。 色マナのバランスと同じくらい重要なのがマナ域のバランス。 デッキにどのくらいのコストのカードが何枚入っているのかの分布パターン、いわゆるマナカーブというヤツですね。 構築戦なら1〜2マナのカードのカタマリというようなデッキも珍しくないですが、限定戦でそのようなデッキは少々キビシイです。 限定戦では構築戦のように質の高い軽量クリーチャーで固めるというわけにはいきません。 どうしても構築デッキよりクリーチャーの質が下がります。 が、そうなると相手に多少大きなクリーチャーを出されてしまうとピタリと止まって身動きできなくなってしまうことが多々あるもの。 突破もできないし、ブロックして除去することもままならない状態ですね。 こういうデッキは明らかにパンチ不足です。 かといってそういう状態を避けるためにマナコストの重いデカいクリチャーだけでデッキを作ると最初の1体を場に出す頃にはあなたが瀕死の状態になってることでしょう。 今度はフットワークが重過ぎるという感じでしょうか。 パンチ不足、フットワークの悪さの双方を何とかしてくれる頼もしい人達が3〜4マナの中量級カード。 だからといって、そういう状態を避けるためにコストの重いデカブツだけでデッキを作ると、最初の1体を場に出す頃にはあなたが瀕死の状態になっていることでしょう。 今度はフットワークが重過ぎるという感じ。 パンチ不足、フットワークの悪さの双方を何とかしてくれる頼もしい人達が3〜4マナの中量級カード。 このマナ圏のクリーチャーはそこそこのコストでそこそこのサイズを持っているので、軽量クリーチャーを押しのけて戦い重量クリーチャーを足止めできる重要な人材が数多く在籍しています。 彼らを活用することでパンチ力とフットワークとを両立させたデッキを目指しましょう。 カードをピックする際、またデッキに投入するカードを決める際に意識して3〜4マナ圏を厚くしておくのがイイ感じです。 かといって3〜4マナ圏だけでデッキを固めていると序盤はすることがなく、後半はマナが余って不恰好ということになるので1〜2マナ圏も少々、5マナ以上も少々という具合にしとくのがベター。 何事もやりすぎは禁物です。 大雑把に表にするとこんな感じ。↓
ソーサリーその他は勘定に入れてないんですね。 クリーチャーはマナ数の伸びに従ってスムーズに展開できる状況が望ましいので、マナカーブがキレイか否かはデッキの強さを露骨に左右します。 非クリーチャーカードもマナカーブにキレイに収まっていることが望ましいではありますが、除去は取れれば何でもありがたい…というのが実情なので無理に「マナカーブを滑らかに」というワケにはいかないモノです。 というわけで上の表でも非クリーチャーカードは外してあります。 しかし非クリーチャーカードだって、なるべくならマナカーブを崩さない方がデッキはキレイに回るのでその辺も意識しつつ。 特に重いカードを入れるときは要注意。 クリーチャー、非クリーチャーを問わず限定戦では重いカードは使いづらいもの。 何しろデッキに土地は多くても18枚程度。 10マナのカードはデッキの中の土地を半分以上引き当てないと使えないわけで、いくら構築戦より土地比率の高い限定戦のデッキでもコレはかなりキビシイ。 限定戦で通常使用に耐えるのは7マナがギリギリ、8マナで限界でしょう。 マナ加速がふんだんにあるパックを使用しているドラフトなら別ですが、そうでない時はいくら構築戦で強いカードだとしても9マナ、10マナのカードをデッキに入れるのは少々無理があります。 とりあえずデッキのバランスの話はココまで。 例によってココまでの話は全部目安に過ぎません。 でもドラフトで強いデッキがどんな感じかの手がかりくらいにはなったりしませんかね?なりませんか…そうですか。 最初の回から全部通すとかなりの量の「気をつけるべきポイント」が出てきてるので 「そんなもん、いっぺんに覚えられるわけねえだろ」 って感じかもしれません。 でもまあ全部、頭の片隅に置いとく程度で構わないと思います。 慣れてくればこれら全部を考慮しつつさらに上のレベルで駆け引きしたり、他人の足を引っ張ったりしたりもできるんですがそんなのはもっとあとからで構わないワケで。 次は今まで見てきたことを考慮に入れつつ、「カードをデッキにする話」にいってみたいと思います。 |