#28「じゃあ自分で仕事してみたいな」
〜ABSOLUTE ZERO店長〜
ホームマジックの話をしよう>#28「じゃあ自分で仕事してみたいな」

店長がそう思った時、後に多くの人が集まるそこができることになった。
色々なことにもめげず、東西奔走して確保した店舗とファクスと仕入れルート。
そしてオープンする「ABSOLUTE ZERO」。

つよ: テンペストから始めて、お店開けたのはいつなの?
店長: しが、つ? ……12月に始めてテンペを探して、4月にお店を(笑)。まだ21歳でした……。
つよ: 行動力あるね(笑)。
店長: 2月にはここを借りてました。……私、身体弱いんですよ。
つよ: はい。
店長: お店を開く二年前は入退院繰り返してて。その翌年ちょっと休養の為に家でブラブラしてたんですけど、普通に働きに出る程の体力は無いことが自分の中で判明(笑)、お勤めには出られないらしい。それだったら「じゃあ自分で仕事してみたいな」っていうのがあって。社会勉強もしたかったんで。「体力を余り使わないで済む仕事で、でもお勤めでもなくって」って。それで、カードとかなら、重い荷物を持つわけでもなく。過度なデスクワークがあるわけでもなく。
つよ: 比較的。
店長: 比較的(笑)。お昼ぐらいから開けても大丈夫そうなので、体にも負担がかからず。で個人経営だから、病院なり何なりっていう時にも、まあ「都合によって申し訳ありません」っていう張り紙もできるっていうことで。あと、沖縄でカードショップやるっていうのも、多分冒険に近いものがあったんで。一年でもいいんで、お仕事して外に出て。で、ある程度規則正しい生活にもなるんで身体にもいいだろうって。
つよ: そうだね。お仕事するとね。
店長: それで体力を多少つけようっていうのも考えていて、こう、貯金を引っかき集めてみて(笑)、ホビージャパンに電話をし……。
つよ: お店開ける時ってさ、やっぱりホビージャパンに電話しないといけないの?
店長: 仕入先とかが、ホビージャパンからどこを通して普通に流れているのかっていうのがまだ判明していなかったっていうのがあったんで。で、(お店を)開くんだったら、(スポーツのトレカなどの)輸入品を扱っているお店っていうのは沖縄市の辺りに結構あるから、普通の日本のアニメとかゲーム関係のものも取り扱えるようにしたい。そしたら、そういう輸入じゃなくて、普通の正規ルートの問屋を捕まえないといけないなっていうのがあって。それでホビージャパンに「問屋を教えて欲しい」っていう問い合わせを電話して。
つよ: ……親切丁寧だった?
店長: いえ! あの、いや……とても(笑)
つよ: はははは。「いえ、あの、とても丁寧でした」(笑)
店長: で、大きなところを二軒くらい教えてもらったんですけど、東京の方の問屋さんに電話かけたら、ええっと、沖縄っていうだけでほぼ門前払い。
つよ: 「そんな所までやってねえよ」って。
店長: 「送っても良いけど、そんなもん送料だけでテメエんとこが潰れるぜ」みたいな。「やってらんねえよ」みたいな感じで。で、今の所が大阪の所なんですけど、そこに電話したら「まず店舗とFAXが使える電話が確保できたら、それから審査します」っていうことで。それで「じゃあ場所探そう」って。実家が琉球大学の近くなんで、大学の側で駐車場がある場所じゃないといけないかなってことで、ここに。
つよ: 条件としてはアリかも、ここは。
店長: それでFAX入れてみて、「さあ、これでイヤだって言われたらどうしよう」って思いつつ(笑)。
つよ: 始めてみたものの、もう後戻りできねえよコノヤロウとか思いながら(笑)。
店長: とりあえず、店舗とFAXがないと審査できませんっていうことだったんで、それを用意して、送ったら「良いよ」っていうことになったんで。そのかわり、最初はやっぱり、沖縄っていう所のTC・TCG系のデータがゼロなんで。「一定金額に達する荷物をこちらから用意したら、金額と明細をファックスで送りますから」っていう感じで、こっちが先払いでその荷物分の代金を振り込んだら荷物を送ってくれるっていうかたちで。
つよ: まあ初回だからね。
店長: 先払いが三ヶ月くらいは続いて。
つよ: 信用を得られたので今は普通に。
店長: その後の取引は、別のお店が開いた時に、向こうの開店に来たその担当さんがついでにここまで見に来て、その時にお話しして、帰ってからは後払いでまとめて。系列が一緒だったらしくて(笑)、
つよ: ああ普通に。
店長: 普通に。送ってくれるようになって。

一つのお店を開くことがどれだけ大変なことか、
少し考えりゃ分かるのに、今の今まで失念していましたよ。
はい。だから改めて、五年前の僕が言っていなかったことを今更ながら。
「店長お疲れ様でした。そして開店おめでとうございます」。

続く