去りゆく老兵達(オデッセイブロック編)第3回 黒 |
今年もまたスタンダードの入れ替わりの季節がやってまいりました。 今回脱落するのはオデッセイブロック。 フラッシュバックやマッドネスといった簡単にアドバンテージを生み出すシステムを数多く提供した強力なブロックだっただけに環境に及ぼす影響は大きそうです。 そこでまずは環境落ちで影響の大きそうなカードを色別にピックアップし、それから各デッキタイプごとの影響を考えるという形で話を進めてみたいと思います。 |
第3回は黒。 「黒いエキスパンション」トーメントが落ちるだけに、考えるまでもなく厳しそうですが…。 例によってデッキでよく見かけたカードから。 《陰謀団式療法/Cabal Therapy》 《強迫/Duress》が消えた後の軽量ハンデスのエース。 ついに1マナの手札破壊は《脅迫状/Blackmail》のみになってしまうわけですが、このカードは手札の数を絞り込まないことには威力に欠けるため同じように使うのは…ちとツラそうです。 《チェイナーの布告/Chainer's Edict》、《無垢の血/Innocent Blood》 どちらも軽いコストで使いやすく、対象に取れないクリーチャーでも殺れる優秀除去。 数が並ぶと効き目が薄くなるのはもちろんですが、数を並べさせないようにすれば問答無用なのはご存知の通り。 《もぎとり/Mutilate》 で、上の二つと組み合わせれば大抵のクリーチャーデッキを沈黙させることのできる「黒い《神の怒り/Wrath of God》」。 これらの除去と手札破壊の組み合わせが黒単でのコントロールを可能にしてくれてました。 《納墓/Entomb》、《生き埋め/Buried Alive》 《納墓/Entomb》は何でもいいから1枚、《生き埋め/Buried Alive》ならクリーチャーを3枚埋めることを可能にしてくれます。 もちろんリアニメートの死体遺棄手段として重要なんですが、インカネーションや自力で回収可能な《イチョリッド/Ichorid》や《アンデッドの剣闘士/Undead Gladiator》といったクリーチャーのサーチ手段としても有効。 前者はフラッシュバックスペルも持ってこれる「教示者」といった感じ。 《ゾンビの横行/Zombie Infestation》 クリーチャーやフラッシュバックスペルを埋める手段として、マッドネスエンジンとして。 2枚捨てるという制限ゆえに使い勝手がよくない部分もあるものの「死ににくい共鳴者」としての利用価値は充分。 《激動/Upheaval》と組み合わせでエンドカードとしても使用されました。 《縫合/Stitch Together》 スレッショルドしないといけないという制限こそあれ、スタンダード環境では最も軽い釣りざおとして重宝されました。 死体をどんどん埋めてけば勝手にスレッショルドしますし。 《占骨術/Skeletal Scrying》、《汚れた契約/Tainted Pact》 前者は数を、後者は質を上げてくれる黒の「インスタント」ドロー強化。 どちらも微妙に制限がありますが、黒で青なみにライブラリが掘れるんですから文句は無いでしょう。 《魔性の教示者/Diabolic Tutor》もこの仲間ですが、8版に入ったのでヤツだけは残留です。 《消えないこだま/Haunting Echoes》 一発で墓地をキレイに掃除してくれるこのカードは墓地は貯金箱の時代にあって非常に協力。 ついでにライブラリも薄くしてくれるので黒単でライブラリアウトを狙うコントロールデッキを可能に。 《ナントゥーコの影/Nantuko Shade》 いまいち使いづらい《影》シリーズのクリーチャーの中でもコイツだけは別格。 黒の2マナ圏では最強生物。 《陰謀団の先手ブレイズ/Braids, Cabal Minion》 黒い《煙突/Smokestack》。 4マナクリーチャーとしては貧弱な部類に入るものの、その鬱陶しさはコントロールデッキ使いをウンザリさせてきました。 他にも《イチョリッド/Ichorid》や《よろめく大群/Shambling Swarm》、《顔なしの解体者/Faceless Butcher》といった相手にすると鬱陶しい生物、《最後の儀式/Last Rites》や《不快な夢/Sickening Dreams》などの手札から何かを埋めつつ相手の妨害ができる便利スペルとトーメントが黒に提供していたものは非常に多く、これらの脱落は黒使いにとって大きな痛手です。 しかし、ミラディンには帰ってきた《生命吸収/Drain Life》こと《魂の消耗/Consume Spirit》や効果は2倍の《無垢の血/Innocent Blood》こと《血のやりとり/Barter in Blood》、黒単でエンチャント除去を可能にしてくれる《忘却石/Oblivion Stone》など新たな形でのコントロールデッキの成立を可能にしてくれそうなカードが見えている分、青よりは期待できそうです。 しかし、軽量打撃クリーチャーの穴は埋まらず、ピンポイントの軽量手札破壊も代わりはなく、序盤の選択肢は大幅に減ったままになりそうです。 |