「呪われし運命杯」へ向けての覚え書き 文:けんつよ |
●はじめに 前のレガシー大会(「運命の逆転杯」)の際に書いた記事を纏めたものです。既に環境も変わりつつ有りますが、参考としてご覧下さい。 |
●レガシーにおけるコールドスナップの影響について 色々と探してみたのですが、この記事を書いている時点ではコールドスナップ対応のデッキは見つけきれませんでした。 そもそもレガシーのデッキで入るコールドスナップのカードってあるのか?って話ですが、可能性のあるカードを幾つか紹介してみたいと思います。 ○《占術の岩床/Scrying Sheets》 微妙ですが、赤単バーン等で土地を全て《冠雪の山/Snow-Covered Mountain》に変えれば一応のドロー強化にはなるかも。 でもぶっちゃけこれを入れるくらいなら《不毛の大地/Wasteland》や《海の中心、御心/Mikokoro, Center of the Sea》辺りを入れた方が良いですね。すいません。 ○《ロノムの口/Mouth of Ronom》 土地且つ無色のクリーチャー除去として、どうでしょうか? でもやっぱりこれを入れるくらいなら(以下省略)。すいません。 ○《アダーカーの戦乙女/Adarkar Valkyrie》 所詮、《賛美されし天使/Exalted Angel》の方を選択した方がいいのでは?と云う意見もありますが、意外と強いので検討の価値は有ります。 ○《相殺/Counterbalance》 これはお薦め。入るデッキとしては《渦まく知識/Brainstorm》や《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》等のカードでライヴラリトップを操作出来る青いデッキ。 特にレガシー環境はマナ域が低マナ域に寄りがちなので、使えるのでは? 個人的にはスレッショルド辺りに1、2枚挿しておくと、《予報/Predict》ともコンボになり良いのではと思います。 スレッショルドで出るつもりの方は是非ご一考下さい。 ○《死の印/Deathmark》 1マナと云う軽さが売りの新たな黒系デッキのサイドカード。ただ無難に《美徳の喪失/Virtue's Ruin》(ポータル収録の対白《非業の死/Perish》)や《非業の死/Perish》が無難ですかねえ。 自分が白や緑のクリーチャーを使っている黒系なら選択としてあるかも。 ○《灰の殉教者/Martyr of Ashes》 クリーチャー兼全体除去。本体にダメージが行かないのが残念ですが、赤へヴィのデッキなら《紅蓮地獄/Pyroclasm》の代わりに検討してみても良いのでは? ちょっと推せる自信は無いですが。 ○《忍び寄るイエティ/Stalking Yeti》 総じてクリーチャーのタフネスの低いレガシー環境では《火炎舌のカヴー/Flametongue Kavu》とその座を争えるかも。 このカードの利点は2/3までなら一方的に除去出来る点(例えば《密林の猿人/Kird Ape》や条件を満たした《スカイシュラウドの精鋭/Skyshroud Elite》)とマナは喰うものの繰り返し利用出来る点。 逆に欠点はタフネス4が除去出来ない点と赤マナが2つ必要な点、またCIP能力スタックで除去されるとフィズってしまう点。 さて、検討に値するのでしょうか?一応選択肢として。 ○《氷結地獄/Cryoclasm》 ナイスサイドカード。ダメージが3点入るので例えば《ミシュラのアンク/Ankh of Mishra》バーンのサイドとかに入れてみても良いのでは? それ以外にも土地破壊としては優秀な部類に入ると思います。 ○《オーランのバイパー/Ohran Viper》 スタンダードではその実力が証明されているカード。 ちょっと既存のデッキで入るデッキが思いつきませんが、色を除けば《知恵の蛇/Ophidian》と同等若しくは以上の実力。 ひょっとしたら、意外なデッキで投入されるかもしれません。 ○《ファイレクシアの鉄足/Phyrexian Ironfoot》 無色の3マナ3/4は結構なコストパフォーマンス。通常にアンタップしないデメリットも基本地形を氷雪基本地形に変えれば擬似警戒持ちに。 特にタフネス4と云う所がレガシーで使われている除去の《剣を鍬に/Swords to Plowshares》と《火炎破/Fireblast》とアーティファクト破壊以外ではカード1枚で除去されないのが高ポイント。 適当な軽量ブロッカーに困っているデッキでは検討の余地があるかも? とまあ、こんなものでしょうか? ●レガシーのメタデッキについて1 まず、「最強超人決定杯」後に台頭してきたフェアリーストンピィ。 Cody MannionさんのFaerie Stompy(2006年9月10日開催のMiscellaneous tournament in Stratford, Connecticut, United States、4位)
動きとしてはマナブーストからファッティ(《Serendib Efreet》、《海のドレイク/Sea Drake》、《巨大戦車/Juggernaut》)を1〜2ターン目に召還して、更に装備品で強化して速攻で殴りきるデッキです。 妨害手段は《呪われた巻物/Cursed Scroll》、《Psionic Blast》(青い《黒焦げ/Char》)、《Force of Will》。後、《粗石の魔道士/Trinket Mage》を採用して銀の弾丸戦略も取っています。 一応カテゴリ的にはクロックパーミッションになるのでしょうか? 《海のドレイク/Sea Drake》はポータル2収録のアンコモンで、テキストは以下の通り。
因みに土地が1枚だけなら対象不適切で1枚も戻さずに良い(対象が無ければ、生け贄に捧げるとはどこにも書いていない)ので1ターン目《金属モックス/Chrome Mox》、2マナ土地からこれをプレイすることも可能です。 次のターンに《Serendib Efreet》か《巨大戦車/Juggernaut》ってパターンがブン廻りですね。 カードが揃え辛いデッキではありますが、今回の大会は代用オッケーなので、気に入った方は是非一度廻してみて下さい。 ●レガシーのメタデッキについて2 県内の大会なので、「最強超人決定杯」の優勝デッキを紹介しとかねばと思いランドスティルの紹介です。 主水@HAMA研さんのランドスティル(2006年7月9日開催の最強超人決定杯、優勝(参加15名、4勝1分))
基本的にはパーミッション。カウンターをすり抜けたクリーチャーには火力と《フェアリーの集会場/Faerie Conclave》、《ミシュラの工廠/Mishra's Factory》辺りで。 そして全てを流す《ネビニラルの円盤/Nevinyrral's Disk》でパーマネントにも対応。 ボートコントロールした所で有利な局面になったら《行き詰まり/Standstill》で蓋をして更にアドヴァンテージを取ります。 また《ネビニラルの円盤/Nevinyrral's Disk》で流せない土地にも《不毛の大地/Wasteland》+《世界のるつぼ/Crucible of Worlds》(このコンボで土地を縛って勝つパターンもあります)で対応出来る、まさに理論上は完璧なデッキ。 弱点は特殊地形にかなり依存しているところ。 だから《基本に帰れ/Back to Basics》や《血染めの月/Blood Moon》を通して《ネビニラルの円盤/Nevinyrral's Disk》に対処しきれれば勝てます。 後は《発展の代価/Price of Progress》も良く効きます。 基本的にクリーチャー土地で殴りきるので《真髄の針/Pithing Needle》で《ミシュラの工廠/Mishra's Factory》を指定するのも良いかもしれません(土地破壊も良いんですが《世界のるつぼ/Crucible of Worlds》で回復されてしまいがちです)。 若しくは対処しづらい《敏捷なマングース/Nimble Mongoose》、《熊人間/Werebear》(要スレッショルド)や《トロールの苦行者/Troll Ascetic》、《破滅的な行為/Pernicious Deed》でプレッシャーをかけると云う手も有り。 まあ、自分のデッキで対策できるカードを選べば良いんじゃないでしょうか。 とは云え、なにせ主任の使うデッキですので、これは県内の要警戒デッキの一つです。 それともう一つ、外国のランドスティルも紹介しておきます。 Nick TrudeauさんのLandstill(2006年8月13日開催のWorld Championships tournament in Indianapolis, Indiana, United States、4位)
こちらのヴァージョンは何と青メインに白黒緑をスプラッシュした4色構成。 青赤ヴァージョンの火力が《剣を鍬に/Swords to Plowshares》と《悪魔の布告/Diabolic Edict》になり、《ネビニラルの円盤/Nevinyrral's Disk》が《破滅的な行為/Pernicious Deed》に。 そして、メインから《もみ消し/Stifle》を投入。更に《フェアリーの集会場/Faerie Conclave》がよりパワフルな《ナントゥーコの僧院/Nantuko Monastery》に。 サイドは白を活かして《翻弄する魔道士/Meddling Mage》、黒を活かして《強迫/Duress》と《仕組まれた疫病/Engineered Plague》を投入しております。 土地を24枚にしているので、土地事故は多少減っているかもしれませんが、4色にも関わらず、色マナの出ない土地が10枚とかなり冒険的な構成です。 色マナには苦労するかもしれません。 まあ、廻れば確かに強いのかもしれませんが…。 どちらのヴァージョンも結果を出しているので、参考にされて下さい。 ●レガシーのメタデッキについて3 続いて、大会で優勝するや否やレガシー業界内では話題を攫ったランドデッキ。 まずはレシピを。 Sascha Thomsenさんの43 Land2006年8月13日開催のMiscellaneous tournament in Aschaffenburg, Germany、優勝)
デッキ名の通り、実に43枚も投入された土地、土地、土地。 フィニッシャはクリーチャー化する10枚と2枚の《ワームの咆哮/Roar of the Wurm》のみ。 動きとしては1ターン目に《マナ結合/Manabond》か《踏査/Exploration》を張り、圧倒的なマナブーストをする。 そして、《リシャーダの港/Rishadan Port》、《不毛の大地/Wasteland》、《The Tabernacle At Pendrell Vale》で相手のマナを縛りつつ高速で殴りきる。 また、《マナ結合/Manabond》、《壌土からの生命/Life from the Loam》の発掘、《根囲い/Mulch》で落ちた《ワームの咆哮/Roar of the Wurm》を高速召還したりもする。 特に《壌土からの生命/Life from the Loam》は《不毛の大地/Wasteland》やサイクリングランド、除去されたクリーチャー化する土地を循環して、マナ拘束したり、ドローを進めたりとキーカードの一つである。 しかし、もっとも初手に来て欲しいのは《マナ結合/Manabond》、《壌土からの生命/Life from the Loam》、《ワームの咆哮/Roar of the Wurm》1枚に緑マナ発生源1枚を含む土地4枚。 これなら2ターン目に6/6クリーチャーが降臨する事になり、もっとも早いクロックが掛けられる。 それでも、土地に困る事はまず無いし、ブン廻りした時の爽快感は堪らないものがあるので、コンボデッキ好きには面白いデッキだと思います。 因みにクリーチャー対策土地で《蛮族のリング/Barbarian Ring》、《Maze of Ith》、《The Tabernacle At Pendrell Vale》の3種。 因みに古いカードの2枚のテキストは以下の通り。
サイドはダメージデッキ対策の《Zuran Orb》(これも《壌土からの生命/Life from the Loam》と相性が良いです)。 全体軽量クリーチャー除去の《紅蓮地獄/Pyroclasm》と万能パーマネント除去の《ネビニラルの円盤/Nevinyrral's Disk》。 そして、コンボデッキやカウンターデッキ対策と思われる《ハルマゲドン/Armageddon》(これは《The Tabernacle At Pendrell Vale》と相性が良いですし、《壌土からの生命/Life from the Loam》で自分は回復出来るので問題無し)。 後、墓地対策兼ライブラリ破壊(環境の有力デッキの一つの《High Tide》デッキ)対策の《ガイアの祝福/Gaea's Blessing》。 弱点は普通の土地しか引かないと云う逆土地事故の可能性が高い点と、特殊地形しか入っていないので、《基本に帰れ/Back to Basics》や《血染めの月/Blood Moon》のエンチャントや《発展の代価/Price of Progress》に弱い所。 エンチャント2種に対してはサイドの《ネビニラルの円盤/Nevinyrral's Disk》で対処する事が出来ますが、《発展の代価/Price of Progress》は《Zuran Orb》が張れて無いと即死まで有ります。 後、《ミシュラのアンク/Ankh of Mishra》も序盤に張られると結構キツいです(《マナ結合/Manabond》や《踏査/Exploration》である程度マナを展開した後ならそれ程怖く有りませんが)。 ●レガシーのメタデッキについて4 続けてクリーチャーレスデッキの紹介が続いたので、最近結果を出したクリーチャーデッキを。 roland changさんのU/G Madness(2006年8月13日開催のWorld Championships tournament in Indianapolis, Indiana, United States、優勝)
最近まではレガシーの緑青クリーチャーデッキと云えばスレッショルドだったのですが、久し振りにマッドネスが結果を出しています。 構成はメインは極めて普通のマッドネス。強いて云えば《ワームの咆哮/Roar of the Wurm》が入っておらず、そのスロットに《もみ消し/Stifle》が入っている点、フェッチランドを多用している為、《入念な研究/Careful Study》では無く、相性の良い《渦まく知識/Brainstorm》を採用している点でしょうか。 スタンダードでマッドネスを扱った人なら問題なく廻せるかと。後、氷雪基本地形に特に意味は無いようです。 サイドも大体が用途は自明。 ただ、とても珍しいサイドカードの《Hail Storm》はアライアンスのアンコモンでテキストは以下の通り。
自分はこのカードが今までトーナメントレヴェルのデッキに入るカードだとは思っていなかったので吃驚。 それと《虚空の杯/Chalice of the Void》は何対策で入れるんだろう。このデッキだとX=0〜2でしか張れないと思うのでもっと良いサイドカードがあると個人的には思うんですが。 まあ、実際このレシピで優勝しているのでそれで良いのかもしれませんが。 ●レガシーのメタデッキについて5 最近の海外のレガシーの傾向としてコンボデッキが増えつつありますが、そんな中から割と昔からあるコンボデッキを。 Thomas LeeさんのSalvagers Game(2006年8月13日開催のWorld Championships tournament in Indianapolis, Indiana, United States、準優勝)
所謂《猟場番/Gamekeeper》デッキです。レガシーでは《ドルイドの誓い/Oath of Druids》が禁止カードで使えないので《猟場番/Gamekeeper》になっています。 動きとしてはヴィンテージの《永遠の証人/Eternal Witness》型《ドルイドの誓い/Oath of Druids》が近いでしょうか。 まず、《猟場番/Gamekeeper》の誘発能力か生出しで《オーリオックの廃品回収者/Auriok Salvagers》を場に出します。 そして、手札か墓地に《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion's Eye Diamond》と《彩色の宝球/Chromatic Sphere》若しくは《黄鉄の呪文爆弾/Pyrite Spellbomb》が有ればコンボスタート。 まず《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion's Eye Diamond》で白3マナを出し、内2マナを使って《オーリオックの廃品回収者/Auriok Salvagers》で回収します。 これを繰り返す事で無限マナがでますので、《黄鉄の呪文爆弾/Pyrite Spellbomb》が有れば、今度は《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion's Eye Diamond》で赤マナを20マナ出します。 そして、今度は《黄鉄の呪文爆弾/Pyrite Spellbomb》を出して、起動、回収を繰り返し勝ちます。 もし、墓地に《黄鉄の呪文爆弾/Pyrite Spellbomb》が無くても、《彩色の宝球/Chromatic Sphere》を繰り返し起動、回収する事でライヴラリを全部引ききる事が可能(但しこの時、相手が《天才のひらめき/Stroke of Genius》等を持っていたらマズいので、《黄鉄の呪文爆弾/Pyrite Spellbomb》を引いたら、それ以上は引かない事。 ベストの動きは、1ターン目《Bayouy》から《強迫/Duress》、2ターン目に《金属モックス/Chrome Mox》と《暗黒の儀式/Dark Ritual》を絡めて《猟場番/Gamekeeper》を出し、余った1マナで《陰謀団式療法/Cabal Therapy》をプレイして安全を確認しつつ、《オーリオックの廃品回収者/Auriok Salvagers》を出すパターン。 そして、その過程でコンボパーツが墓地に落ちると云うパターンです。 尚、《猟場番/Gamekeeper》を自分で墓地に落とす手段としては《陰謀団式療法/Cabal Therapy》のフラッシュバックの他に《無垢の血/Innocent Blood》と《生ける願い/Living Wish》経由の《キイェルドーの死者/Kjeldoran Dead》が有ります。 また、《黄鉄の呪文爆弾/Pyrite Spellbomb》が《真髄の針/Pithing Needle》で禁止されたり、ゲームから取り除かれた時の保険で無限マナから、《生ける願い/Living Wish》経由の《現し世の裏切り者、禍我/Maga, Traitor to Mortals》でフィニッシュと云うパターンも有ります(その場合は《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion's Eye Diamond》で無限マナをと黒3マナ、緑1マナを出してから、《彩色の宝球/Chromatic Sphere》で《生ける願い/Living Wish》を探す必要が有ります)。 そうそう、ドロー強化に《汚れた契約/Tainted Pact》が入っている為、氷雪基本地形が入っていますので、使う方は基本地形に差し替えない様に。 弱点は墓地のキーカードをリムーヴされたり(例えば《トーモッドの墓所/Tormod's Crypt》)、《真髄の針/Pithing Needle》で《オーリオックの廃品回収者/Auriok Salvagers》を禁止されると辛い点と、コンボ起動を始めると《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion's Eye Diamond》のせいで手札が無くなる為、《オーリオックの廃品回収者/Auriok Salvagers》を除去されるとキツい所でしょうか。 その為、対策カードとして、メインでは《生ける願い/Living Wish》経由の《ヴィリジアンの盲信者/Viridian Zealot》、《ヴィリジアンのシャーマン/Viridian Shaman》、サイド後は裏をかく《ダークスティールの巨像/Darksteel Colossus》2体が入っています。 まあ、(どんなデッキでもそうですが特に)要練習のデッキです。 ●レガシーのメタデッキについて6 結果を残しているコンボデッキの一つ、ストームデッキの紹介です。 Ben RobertsさんのIGGy Pop(2006年8月13日開催のWorld Championships tournament in Indianapolis, Indiana, United States、5位)
昨日に引き続き《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion's Eye Diamond》を使ったコンボデッキです。 こちらの勝ち手段は《苦悶の触手/Tendrils of Agony》1枚のみ。 《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion's Eye Diamond》、《水蓮の花びら/Lotus Petal》、《陰謀団の儀式/Cabal Ritual》、《暗黒の儀式/Dark Ritual》等でマナブーストしつつ、充分な数のストームを稼いで、《苦悶の触手/Tendrils of Agony》で勝つと云うのは、ヴィンテージのグリム・ロングと感覚的には一緒。 ただ、使えるカードプールが違うので当然構成も異なります。 まず、キーカードは《不正利得/Ill-Gotten Gains》。これで、使い切ったマナソースや必要なカードを再利用します。 他にコンボパーツをかき集めるカードとして《渦まく知識/Brainstorm》と《留意/Mental Note》(これは墓地が肥やせる為、《不正利得/Ill-Gotten Gains》や《陰謀団の儀式/Cabal Ritual》と相性が良いです)と《神秘の教示者/Mystical Tutor》、《冥府の教示者/Infernal Tutor》(特に《不正利得/Ill-Gotten Gains》や《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion's Eye Diamond》で一度手札を減らした後は暴勇モードでプレイし易くなるので結構便利)、《直観/Intuition》。 とりあえずコンボのスピードのみを追及して有る為、相手への阻害手段はメインでは対カウンター対策の《防御の光網/Defense Grid》3枚のみ。クリーチャー対策はメインでは、まったく無し。 また、メインで《翻弄する魔道士/Meddling Mage》で《苦悶の触手/Tendrils of Agony》が禁止された時は緊急避難カードとして《残響する真実/Echoing Truth》が1枚挿してありますがあくまで保険。 基本的には「やられる前にやる」方向性のデッキ。 個人的に廻してみた感想としてはちょっと不安定が否めない印象。非常にプレイングに慣れるまでが難しい部類に入るデッキだと思います。 単に自分のプレイングがヘボいだけかもしれませんが。 ただ、コンボスピードでは結果を出しているデッキでは随一なんじゃないでしょうか(実はレガシーでも理論上1ターンキルが可能なデッキが幾つか有ります)。 後、メインに4枚入っている《虚空の力線/Leyline of the Void》は墓地対策と云う側面よりも《不正利得/Ill-Gotten Gains》で自分だけ得する為に入っていると思われます(無論、最近のメタとして墓地を悪用するデッキが増えてきているようなので、それもあると思いますが)。 サイドでは追加のマナソースの《金属モックス/Chrome Mox》、致命的なパーマネントへの対策としての《残響する真実/Echoing Truth》、相手のアーティファクト(例えば《虚空の杯/Chalice of the Void》とか)を戻したり、自分を対象にしてストーム数を稼げる《ハーキルの召還術/Hurkyl's Recall》、クリーチャー対策として《虐殺/Massacre》(恐らく苦手な《翻弄する魔道士/Meddling Mage》を使う相手にマナを使わずプレイ出来る為、これにしたと思われます。ただ《蔓延/Infest》でも良い気もしますが)。 後はカウンターデッキやバーンデッキ対策の《誤った指図/Misdirection》と追加の《防御の光網/Defense Grid》と《苦悶の触手/Tendrils of Agony》。 それぞれ用途は判り易いかと思います。 弱点は墓地対策(特に同キャラ戦での《虚空の力線/Leyline of the Void》)や《頭蓋の摘出/Cranial Extraction》、《もみ消し/Stifle》等でしょうか。 後、《虚空の杯/Chalice of the Void》や《翻弄する魔道士/Meddling Mage》もかなり辛いです。 一応、追記しておきますが、《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion's Eye Diamond》の最新テキストは以下の通り。 《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion's Eye Diamond》 0 アーティファクト ライオンの瞳のダイアモンドを生け贄に捧げる,あなたの手札を捨てる:あなたのマナ・プールに、好きな色1色のマナ3点を加える。この能力は、あなたがインスタントをプレイできるときにしかプレイできない。 このマナを充てて呪文をプレイする事はできません。一番良いタイミングは《不正利得/Ill-Gotten Gains》プレイスタックでマナを出しておく事です。 一応、今のオラクルではそう解釈出来るので要注意。 ●レガシーのメタデッキについて7 今年あった大きな変更点として、コールドスナップの参入ともう一つ、特定のカード群のオラクル訂正が有ります。 それは以下のカード達。
これらのカードは元々、実際のカードの通りに機能していましたが、スタンダードで《巨大鯨/Great Whale》と《繰り返す悪夢/Recurring Nightmare》を使った無限マナデッキや《霊体の先達/Karmic Guide》と《ゴブリンの砲撃/Goblin Bombardment》の無限ダメージデッキが当時のスタンダード環境を不健全なものにしてしまった為、これらのカードには「手札からプレイされた場合」と云う一文がオラクルに記載されました。 それでこれらのコンボデッキは死滅していたのですが、最近、この訂正が解除されました。 つまりこれらのカードは元のカードテキスト通りになった訳です。 そんな訳でこれらを使ったコンボデッキが復活した訳です。 しかし、残念ながらこれらのカードを使ったレガシーのデッキが見つからなかったので、今日は自分が当時のデッキをレガシー環境に焼き直したサンプルデッキを紹介します(ので、強さは保障しかねます)。 けんつよの玉虫アルター(サンプルなので、特に結果は有りません)
完全脳内構築なので、「本当にこんなデッキも有るんだなあ」程度で。 動きとしては《狂気の祭壇/Altar of Dementia》が場に有って墓地に《誘拐/Abduction》が有ればコンボスタート。 《玉虫色のドレイク/Iridescent Drake》をプレイして、墓地の《誘拐/Abduction》を自身にエンチャントさせます。 そして、《狂気の祭壇/Altar of Dementia》で生け贄に捧げると《誘拐/Abduction》の効果で《玉虫色のドレイク/Iridescent Drake》が場に戻るので再び《誘拐/Abduction》をエンチャントさせます。 これを繰り返してライヴラリアウトを狙います。 理想的には1ターン目に《狂気の祭壇/Altar of Dementia》、2ターン目に《直観/Intuition》または《知識の渇望/Thirst for Knowledge》で《誘拐/Abduction》を墓地に落とし、3ターン目にコンボスタートと云う展開。 メインはコンボパーツ、ドロー強化、コンボをねじ通す為の《Force of Will》と《誤った指図/Misdirection》で出来ています。 また、《狡猾な願い/Cunning Wish》は状況に応じて、必要なカードを持ってきて下さい。 因みにサイドは《狡猾な願い/Cunning Wish》用のインスタントと赤対策の《青霊破/Blue Elemental Blast》、そしてカウンタデッキや手札破壊デッキ相手にした時に効く《綿密な分析/Deep Analysis》です。 弱点はライヴラリ破壊なので《ガイアの祝福/Gaea's Blessing》が苦手ですが、それはどうにか《もみ消し/Stifle》して下さい。 ●レガシーのメタデッキについて8 続いて紹介するのは記憶にも新しい親和デッキです。 Mathias WiggeさんのVial Affinity(2006年8月13日開催のMiscellaneous tournament in Aschaffenburg, Germany、3位)
《頭蓋骨絞め/Skullclamp》は禁止カードなので当然入ってませんが、スタンダードの頃との違いは《彩色の宝球/Chromatic Sphere》が《テラリオン/Terrarion》に変わったのと《爆片破/Shrapnel Blast》がより爆発力のある《投げ飛ばし/Fling》(まあ、それぞれ一長一短有りますが)に変わったくらいでいたって普通の《霊気の薬瓶/AEther Vial》型親和です。 特に詳しい説明は不要かと思われます。 サイドは墓地対策の《トーモッドの墓所/Tormod's Crypt》、レガシーでは定番の《真髄の針/Pithing Needle》、天敵カードである《魔力流出/Energy Flux》や《謙虚/Humility》用の《解呪/Disenchant》、軽い親和デッキに相性が良く、マナを多用する相手に効く《冬の宝珠/Winter Orb》、対クリーチャー用で親和も稼げる《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》、そして、天敵カードの《戦争の報い、禍汰奇/Kataki, War's Wage》とゴブリン対策を兼ねた《仕組まれた疫病/Engineered Plague》です。 入手し易いカードで組まれつつ、且つ爆発力も有る良い多いデッキなので結構お薦めです。 因みに対策がキツいとあっさり負けるので、その辺はメタゲーム次第と云う事で。 ●レガシーのメタデッキについて9 環境がコンボ寄りになっているのでビートダウンデッキも紹介しておきます。 David PriceさんのRGBSA(2006年7月16日開催のStarCityGames Duel for Duals tournament in Richmond, Virginia, United States、14位)
とりあえず個人的に好きなDavid Priceさんが使ったと云う点でも注目の緑赤タッチ黒《適者生存/Survival of the Fittest》ビートダウン。 《適者生存/Survival of the Fittest》を使ったレガシーデッキと云えばATS(《貿易風ライダー/Tradewind Rider》を核としたコントロール型の《適者生存/Survival of the Fittest》デッキ)が有名(しかしメタゲームの推移から最近すっかり見なくなりました)ですが、これは青を切って、対クリーチャー戦に重きを置いた構成で《火炎舌のカヴー/Flametongue Kavu》がメインに4枚フル投入されております。 無論、コンボデッキが苦手になる訳ですが、その辺はタッチ黒して、《陰謀団式療法/Cabal Therapy》、《強迫/Duress》を投入しています。この辺のバランス感覚は参考になりますね。 また、《燃え立つ願い/Burning Wish》を4枚フル投入していて、銀の弾丸戦略も取っていて、意外と柔軟に対処出来ます。 他にメインは特に解説は要らないと思います。 サイドに関しては《燃え立つ願い/Burning Wish》用のソーサリーと対カウンタ、コンボ用の《催眠の悪鬼/Mesmeric Fiend》、墓地対策としては比較的珍しい《土覆いのシャーマン/Loaming Shaman》、そして黒いデッキの定番《仕組まれた疫病/Engineered Plague》(基本的に対ゴブリン用)です。 ●レガシーのメタデッキについて10 続いて紹介するのは大会で結果を残したデッキでは無く、「StarCityGames」さんのレガシーの攻略記事からです。 Illusions-Donate in Legacy(「レガシー環境にIllusions-Donateを見た!!」) 原文:(直接リンクです、但し英文) 和訳:(「MTG Sideboard Online 日本語版スレまとめ」さん、画面左上の新着記事一覧からご覧下さい) Stephen MenendianさんのIllusions-Donate(攻略記事のリストなので、大会結果は無し)
かつてあのkai buddeさんがエクステンデッドで使ってPro Tour New Orleans 2001で劇的な《変異種/Morphling》トップデッキで優勝したデッキの最新レガシー対応版です。 基本的な動きは一緒で《サファイアの大メダル/Sapphire Medallion》(無くても良いが、有るとコンボ起動が非常に楽になる)からの《Illusions of Grandeur》を《寄付/Donate》して自分のライフを増やすと共に相手に20ライフルーズさせて勝つ。 このコンボをねじ通す為のエンジンが有名な《直観/Intuition》+《蓄積した知識/Accumulated Knowledge》コンボ。《直観/Intuition》により手に入れた3枚目と《商人の巻物/Merchant Scroll》辺りで入手した4枚目の《蓄積した知識/Accumulated Knowledge》で7枚のカードを引き増し、カウンタでバックアップします(無論ドロー強化はコンボパーツを集める為でも有ります)。 詳しい解説はリンク先を見てもらうのが一番良いと思いますが、このリストではオリジナルのデッキが採用していたサイドからの《変異種/Morphling》が採用されていません。 記事の筆者曰く、「レガシー環境では《変異種/Morphling》は使えない」との事。 サイドの空きスロットにはメタゲーム次第で《秘儀の研究室/Arcane Laboratory》や《基本に帰れ/Back to Basics》や《血染めの月/Blood Moon》を投入すべきだと云う事です。 ●レガシーのメタデッキについて11 最後は個人的趣味のデッキです。 Chris WoltereckさんのAluren(2006年7月16日開催のStarCityGames Duel for Duals tournament in Richmond, Virginia, United States、17位)
けんつよが一時期エクステンデッドで愛用し続けた思い入れのある《魔の魅惑/Aluren》デッキです。 とは云え、レガシー対応と云う事でかなり構成は違いますが。 基本的に勝ち手段は二つ。《魔の魅惑/Aluren》で《洞窟のハーピー/Cavern Harpy》を繰り返しプレイ(※自分自身を開門する)してからの《思考停止/Brain Freeze》によるライヴラリアウト。 もう一つは《オーリオックのチャンピオン/Auriok Champion》環境下で《洞窟のハーピー/Cavern Harpy》を繰り返しプレイしての無限ライフを得てからの《生ける願い/Living Wish》経由の《蛆たかり/Maggot Carrier》を《洞窟のハーピー/Cavern Harpy》で繰り返し開門してのルーズライフ(こっちは無限ライフなので問題無し)。 コンボは最速3ターン目には起動します。 コンボを確実に決める為に、《強迫/Duress》、《陰謀団式療法/Cabal Therapy》の妨害手段とドロー強化としては《ワタリガラスの使い魔/Raven Familiar》(これは《魔の魅惑/Aluren》を張った後、《洞窟のハーピー/Cavern Harpy》で開門を繰り返し、足りないコンボパーツを探すのにも使えます)、《渦まく知識/Brainstorm》、そして《Lim-Dul's Vault》を使っています。 サイドは《生ける願い/Living Wish》用の銀の弾丸クリーチャーと追加の《強迫/Duress》、そして定番の《帰化/Naturalize》です。 個人的に《魔の魅惑/Aluren》デッキをレガシーで組むとしたら、結構違う構成になると思いますが、ウェブに載っているレシピがこれしか見つけられなかったので。 まあ、こんなデッキも有る程度に受け取って下さい。 ●最後に 「時のらせん」の導入で色々メタも変わるかも知れません。あくまで参考程度に、貴方なりのデッキでのご参加をお待ちしております。 |