沖縄のメタゲーム(パーミッションの追加分)
文:主任@HAMA研

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もうだいぶ前になりますが、パーミッションについて書いたことがあります。
その記事の追加分として、実際に一定期間使ってみた感じを箇条書きっぽくまとめてみました。
この追加分自体が長期にわたって少しづつ書き続けたものなので、時期によって文章としてのまとまりに欠けてますが、何かの資料として使えることもあるかと思い載せてみました。

コンニチハ。
時に皆様、オンスロートの発売直後にSBJに「スタンダードにおけるD5Cの復活?」という記事が載ったのを覚えておいででしょうか?
スタンダードで再びD5Cが使えると言われたら、考え無しに飛びつく馬鹿一人。
というわけで、自作自演で開催した「オンスロートをためしに使ってみよう大会」には件の記事のレシピにサイドだけ手を加えたデッキを持って出たわけですね。

10月13日 新スタンダード構築戦 6位 主任@HAMA研

使用者のプレイヤーとしての能力の低さといった部分を排除してもこのデッキには明らかに問題がある・・・・・・しかしデッキ自体は非常に魅力的。
そこで、こいつと一蓮托生という企画をたててみた次第。
というわけで周囲の変化に振り回されつつもも愛を貫く男の生き様、その一部始終を見よ。

フライデーナイトマジック11月1日 (有) 邪黒教団

まずは元のデッキから11月のデッキに行き着くまでの変遷ですね。
イキナリ4色目の黒が消えちゃってますが忘れたんじゃないですよ、抜いたんです。
当然ですが色は増やせば増やすほど色事故というヤツが発生する確率が高くなるワケで。
そもそも元のデッキで黒が入ってるメリットとは
@《取り憑かれたエイヴン》のがスレッショルドしたとき、特殊能力が起動できる。
Aサイドボード後《仕組まれた疫病》で1種族を完封。
B《棺の追放》で墓地対策。
この三つに集約されるんですが、Bは緑が入っているのだから《クローサ流再利用》でも可、@はこちらがスレッショルドした状態で相手の使うクリーチャーが青であるという特殊な状況下でしか期待できません。
実際の問題として、新環境に変わった直後のこの時期(11月1日ね)にウンザリするほど顔をあわせたUGや露骨な弱体化が叫ばれたサイカを使うプレイヤーは少なく青いクリーチャーに遭遇する可能性はかなり低いものでした。
そこで《燻し》を4枚投入してみて、それに伴う除去力の向上が色事故のリスクに見合うものではないのを確認した時点でキッチリ黒を切り捨てることにしました。

そうなると当然《取り憑かれたエイヴン》がフィニッシャーというのもどうかと。
ただの4マナ4/4飛行ってスタイルはそれほど魅力的とは思えないし・・・悪くはないんですけどね。
そこで新たなフィニッシャーを検討。
いろいろと候補者を回ったところ《絹鎖の蜘蛛》《貪欲なベイロス》《賛美されし天使》が最終的な候補に残りました。
フェッチランドを大量に使用するこのデッキ、土地だけで消費されるライフは相当な量です。
もらえるライフは何でももらいたいってのがホントのところ。
そこでUG以外は効果の薄い《絹鎖の蜘蛛》がサイド候補に落ち、《貪欲なベイロス》《賛美されし天使》の2択に。
最終的には「このデッキじゃ緑緑を出すより白白を出すほうが楽」「殴る限り恒久的にライフが入ってくる」「飛んでる」というもろもろの理由から《天使》が採用に。
で、壁としてもフィニッシャーとしても有効とされていた《群獣の呼び声》は県内で早くからはびこり始めたアストログライドに簡単に除去され、UGで空を飛ぶ軍団の前には全く存在意義がない、などの理由から《ナントゥーコの僧院》に変更。
こちらならタダで出る、カウンターされない、サイズが大きい、先制攻撃がついてるとメリット満載なうえにサイアクの場合でも土地。
正直な話、この時期けっこうな数が存在した《憤怒》を軸としたステロイドで毎ターンやってくる《千足虫》を止めるための壁として採用したんですが青に対しても非常に有効だったので正式採用としました。
除去が《カーターの願望》という謎のカードになってるのは当時「《燻し》の加入で《影魔道士の浸透者》の攻撃が通しやすくなる!?」とまことしやかに流れていた噂に基づいてデッキに《影魔道士の浸透者》を投入する輩が大量発生していたため。
実際ヤツラにはよく効きました。
この時点で周囲には《陰謀団の先手ブレイズ》や《影魔道士の浸透者》を使用したデッキが大量発生してたんで「相性的に無理っぽいぞこのデッキ」という意見が内外から飛び出しますが、無理を押して使い続けるのがこの企画。

ここまでの変更ですでに現在でも使い続けてるデッキの土台はほとんど完成しました。
で、FNMで1位。
嘉手納基地内でのミニゲームに持ち込んだときも、それなりにいい成績を残せたのでコレはイケると判断して、この時点で次に控えている大きな大会であったUK杯に向けて調整を進めて構築を激しく間違っていく僕。

11月4日 UK杯 12位 主任@HAMA研

1日のデッキとほとんど変わりないのですが、そのわずかの差があまりにもダイレクトに明暗を分けてしまいました。
この時期にいきなり発生したアストログライドを中心に練習を重ねたため、それ以外のデッキへの耐性が低くなるのに気付かずにドロー強化をどんどんサイクリングカードに変えてしまって大惨事に。
《洞察のひらめき》を《アクローマの復讐》のように露骨な回答に、それ以外にも《動員令》を増やしてフィニッシャーを厚くしたりとイロイロやっちゃってますが、おかげで特定のカードをサーチしてくる能力が低下して、「負けないものの勝てない」という初期のラインと同じトコに戻っちゃったり。

あとから冷静になって考えればわかるけど、徐々にカードを入れ替えていくとデッキ全体がどうなってるのかを考慮する為の脳ミソが足りなくなることって結構ないですか?。
まさにソレ。
問1.アストログライド相手なら《霊体の地滑り》と《稲妻の裂け目》さえカウンターしておけば勝てるので他の手札は全部ドロー強化要員にまわせます。
じゃあ他のデッキが相手なら?
正解.「全部使い切るのでドロー強化できなくなってデッキが止まる」。
おかげでここから先、しばらく成績が低迷することとなります。

フライデーナイトマジック11月8日 5位 主任@HAMA研

ここでは一応《洞察のひらめき》が一枚戻ってきたりしていますが、《獣群の呼び声》も一緒に戻してきてたりするあたりが救えません。
今、考えればそれだけスロットが空いてるなら、そこ全部ドロー強化にしとけとツッコミどころ満載。
この時期はまだ、アストログライド以外のコントロールデッキもそれなりの数が存在していました。
そいつ等に遭遇してしまうと間違いなく引き分けるため、大会とかに出るとほぼ真ん中の順位に納まってました。

この頃から後はデッキの骨の部分はほぼ固定。
で、土地のバランスとドロー強化のスロットをよりよいものにするための作業が繰り返された感じ。
《洞察のひらめき》から《強制》さらに《行き詰まり》と推移してるあたりが

アストログライド強い→コントロールが増え、アストログライドが駆逐される→コントロール同士なら《強制》はったモン勝ち→遅いデッキが増えてきた→UGがいい加減帰ってくる→手札で圧倒しないと勝てない→《行き詰まり》で蓋をする

という周囲の環境変化を必死で追っかけてる様が如実に出てて、今見ると微笑ましいものがあります。
細かくカードが入れかわったりはするものの、2002年末まで基本スタイルはほとんど変化無し。
で、イキナリ1月に飛びます。

1月10日 フライデーナイトマジック 4位 (有)

.12月を通して徐々にその数を増したUGに対抗するためについに、初期からのコンセプトだった「土地に余裕を持たせる」構成を捨てざるをえなくなってしまいました。
2002年の間は基本的に土地27〜28枚という構成を貫いていたんですが、余った土地をサイクリングする時間すら与えてくれないほど高速かつヘビーカウンターのUG相手にできるだけ圧縮した構成にしておかないと勝負できないところまできてしまいました。
さらにこの後、バウンスと除去でしのぎ、《行き詰まり》を貼って手札で圧倒するスタイルを再び採用して、UGやサイカその他周囲に普遍的に存在してるデッキには何とか戦える状況にもっていけました。

そして2003年1月末の現在。
赤に対しては《賛美されし天使》の制圧能力のおかげでワリのいい勝負ができます。
ただ、ゴブリンをならべてくるタイプのデッキに《火花鍛冶》を出されてしまうと《神の怒り》後じゃないと《天使》が出せなくなってしまうので序盤が勝負になります。
UGに対しては3ターン目に《天使》を裏向きで通せなかった場合、かなり苦しい戦いを強いられます。
特に最近はヘビーカウンターで除去無しのUGが多いので《神の怒り》でリセットさせてもらえません。
ムリヤリ時間を稼いでカウンターマナを立てるために、序盤を引き伸ばすバウンスや《一瞬の平和》が何枚引けるかが勝負。
サイカとは意外と相性がいいようです。
カウンターの質と枚数では一歩サイカに及ばないので《天使》は捨て駒で使い捨て、相手の《サイカトグ》と《激動》用にカウンターを集中して《ナントゥーコの僧院》で勝負をつける形に持ち込むのが一番楽な戦い方のようです。
アストログライド相手はひたすらドロー強化に専念して《狡猾な願い》を集中して入手。
キーになるエンチャントさえ壊せる体制を維持すればまず負けることはないでしょう。
リアニメイトはまあ、カウンターがよく効くので相性がいいです。
そうでなくても《神の怒り》とバウンスでどうにでもしのげるかと思います。

決して環境最強にはなれないデッキだとは思いますが、対処できる範囲が非常に広いデッキにはなっていると思うので、知らないところでイキナリ戦うハメになったときの様子見用のデッキには最適です。
古き良きコントロールデッキのにおいがするので、そういうデッキが趣味の僕としては末永く愛用してやりたいところなんですが、将来的にはちょっとキツそうですね。
なんせ次にスタンダードに参入してくるレギオンはクリーチャーのみのエキスパンション。
《賛美されし天使》をこえるコストパフォーマンスのフィニッシャー候補も見当たらないとあってはこのデッキにとって得るものは何もないってことです。
でも、表になった際に誘発型能力がついてるクリーチャーなど、対処しなくてはならないめんどくさい生物は大量に増えます。
実際どれだけ使われるかはわかりませんが、裏返しで出しておいてクリーチャー除去能力のついてるようなクリーチャーが増えるのは歓迎できません。
《賛美されし天使》の制圧能力に大部分を依存するこのデッキにとってカウンターできない除去が増えるのはつらいことです。
さらに《鉤爪の統率者》という《神の怒り》の効果をうすめるカードまで登場していたりします。
このデッキにとってはちょっと寒い時代が到来しつつある気がせんでもないですね。
でも、まだ使い続けますよ。
ええ、使いますとも。