沖縄のメタゲーム(パーミッション)
文:主任@HAMA研

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久々のこのコーナーです。
もとより県内で大会などに参加される方向けのこの記事、当然ですが県外の方や県内でも僕の出入りしないところでゲームされている方から見ると多少、ズレがあるかも知れませんがそこは僕の偏見で書かれているということを踏まえひとつご容赦のほどを。

さて、現時点までで県内の新環境スタンダードで行われた大会で一番大きめの規模だったのはUK杯だと思われますが、大会レポートをご覧になってもわかる通り優勝はUWパーミッション(ネオポスト)でした。
さらにここ数回のフライデーナイトマジックでUWGのコントロールデッキで意外と勝てていたりします。
世間では新環境でのコントロールデッキ、特にパーミッションの衰退が叫ばれていますが、なぜか勝っているこの現状を中心に話を進めてみたいと思います。
個々のデッキについて論じきれるほどデッキタイプが絞り込まれきってない点もあって、地域限定の話になってしまいます。
今後、特定のデッキをマトにかけた記事も書く予定があるので今後への序章ということで。

まず、パーミッションが弱くなったとされる根拠をならべてみると
@ドローサポートの弱体化
A軽量除去の弱体化
Bカウンターの弱体化
とまあ、ザッと見ても弱体化の文字が3つも並ぶような状況。
そもそもパーミッションは手札が命、手札さえあればボードコントロールもライフゲインもマナの確保も思いのまま。
それが「手札が増えない」ときた日には「弱い」と切って捨てられても無理のないこと。
@がかなり致命的。
Aはそれほど軽くはなかったもののドロー強化を兼ねた《排撃》の消滅、さらに溯ればコントロールでは必須だった《剣を鍬に》は今回エクステンデッドからも落ちてしまいました。
Bはコントロールにとって重要な確定カウンターと時間稼ぎを兼ねた《吸収》が消えてその穴を埋めるカードは結局出てきていません。
確定カウンターでいうなら《蝕み》も消えっぱなしです。

その点、何も失ってないに等しいUG系のビートダウンの台頭、大量のゴブリンと新火力を得た赤バーンなど環境を加速するデッキは生き残っているのでますます速度の遅いデッキとしては世知辛い限り。
弱いといわれても反論の余地無しですな、パーミッション君。
しかし、しかしです。
太古の昔からクリーチャーデッキへの特効薬《神の怒り》は健在だったりするわけで。
そこらのクリーチャーデッキならこれ一発で壊滅。
ただしそこらのクリーチャーデッキも《堂々巡り》や《憤怒》でいやがらせにやってくるのでその辺をどうやってカバーするかが命題になる訳です。
で、先人の英知の結晶たる「カウンターポスト」を見習いソルジャートークンで時間を稼ぎまくる「ネオポスト」と三色目を散らして別の方向に逃げ道を求める「UWGコン」の二つの方向性に分かれてるわけですね。(パーミッションは)
UBのコントロールはもはや以前の環境のようにガッチリ場を掌握して《サイカトグ》でフィニッシュという形に行くにはちょいと無理があるようなので、この時点でコントロールから外します。
彼らはコンボデッキの類として生き残る道が残されているので機会があればそちらの方でお話を。

で、地域密着を目指す以上県内で結果を出したデッキリストを中心に話を展開したい所存。
まずはこちらをご覧ください。

10月13日 新スタンダード構築戦 優勝 HPL
11月4日 UK杯 優勝 けんつよ

以上、ネオポストでした。
とはいってもこの二つはかなり違う動きをするのでまずはその点に注目。
HPL氏のデッキはかなりかつてのカウンターポストを意識したような構成。
質は貧弱とはいえ豊富なカウンター
軽量除去は土地以外は何でも戻せる《蒸気の連鎖》。
いろいろ使い難い状況に思い当たりますが、あいかわらず環境にはびこるトークンに関しては完全除去、《狡猾な願い》を経由しないと入手できないエンチャント除去も一応兼ねる汎用性。
ネックになる手札不足は《ルーンの解読》と《洞察のひらめき》でアプローチ。
どちらもマナが大量にかかるものの、かなりの量を掘り進むことが可能で手札が増やせるオプションつき。
けんつよ氏のデッキは軽量除去が一切無し。
緑のクリーチャーであれば《防御円》で止めることが可能、色が違っていても《狡猾な願い》経由で色を合わせることができたりはしますが。
軽量のカウンターで《神の怒り》までのターンを稼ぎ、《行き詰まり》で蓋をして手札を増強。
サイクリングと《強制》で《行き詰まり》をトリガーせずに手札を整えることが可能なので膠着すればこちらのもの。
そして上の二つのデッキはどちらも《動員令》が序盤のブロッカーとフィニッシャーを兼ね、その点がカウンターポストから受け継いだコンセプトと言えるでしょう。
しかし、《不可思議》全盛のこの時代。
兵士トークンでアタック阻止できる時間には限りがあります
そこでUWで墓地対策カード、しかも《狡猾な願い》で持ってこれるのが理想となると《送り火》しか無さ気ですが、この《送り火》は正直使いたいと思わせてくれるレベルのカードではありません
《不可思議》と同様に《神の怒り》後の硬直状態に大ダメージを叩き込むことを可能にする《憤怒》も何とかしたいところです。
大会に出ればこの二つに遭遇する環境である、という現状を考えると上の二つのデッキはどちらも回すのに高度なプレイングを要求する難しいデッキであるということができるかと思います。(ニュータイプ専用。)
この際、上記の二つのデッキを操った男二人が古豪であったという事実はパーミッションが勝てている理由にカウントしないことにします。

その点、もう少し素人にも扱い易いのがUWGコントロールです。
全くもって手前味噌で恐縮ですがこちらのリストをご覧ください。

フライデーナイトマジック11月15日 優勝 主任@HAMA研
緑を足した分、墓地掃除能力と軽量で使いまわしの利くエンチャント除去が使えるようになってう点が一般兵向け。
ドロー強化にも《クローサの大牙獣》がいい感じ。
3マナで《霊感》と同じだけカードが引け、カウンターされず、いざとなればクリーチャーとしても使えるこのカード、コントロールデッキ同士だとどこでドロー強化を通すかが勝負の分かれ目になることが多々ありますが、こいつはそんな事考えずともイヤでも通るのでカウンター合戦に自信のない方にもおすすめです。
色マナの供給が難しい3色デッキにはちょいと厳しいのですがタダで出せるクリーチャー《ナントゥーコの僧院》も魅力。
色事故にさえ目をつぶれば回すのは結構楽です。

その他の細かい点は各自リストを眺めてケチをつけてもらうとしてですね、いろいろと抜けた古いカードの穴を埋めるべく皆涙ぐましい努力を色々やってはいるのですが、それで埋まるほど小さな穴ではないですよということが言いたかったわけで。
しかし勝っている原因というのが今回の本題。
ここまでの駄文、全部前フリ。
長かったですね。

で、最大の要因は単純に「UGいない」「黒コンいない」これが最大ですね、はい。
何故いないか?
つまらないから
これ最大ですよ。
そこの人、「それはメタでもなんでもない」とか突っ込まないように。
そもそもUGというデッキはオデッセイブロック限定出身。
共鳴者とマッドネス、フラッシュバックといったブロック特有のギミックを余すことなく盛り込んだ完成されたデッキ。
オンスロートから加えるべきカードはほぼ無し。
そして、OBC環境で散々顔をあわせた後だけに今さら魅力を感じる人は少ないはず。
まして新しく手に入れたオンスロートのカードを使いたいと思うのが人情でしょう。
よってUG選択する人は少ない。
で、黒コンですが、環境的に最も有利っぽいUGに搭載されているであろう《たい肥》への有効な対処法を失ってしまいました。
しかもデッキを回転させるためのエンジンが《アンデッドの剣闘士》になってしまい、ますます《たい肥》をトリガーすること請け合い。
どうにかする画期的なテクノロジーが開発されないことには恐くてなかなか乗れるものでは…。
また、黒コンも新しいカードが投入しにくいデッキのひとつだったりします。
さっき出てきた《アンデッドの剣闘士》に加え、新除去《燻し》や《激浪の複製機》などの新たなギミックを加えてみても以前の環境の黒コンとほとんどやる事が変わらないんですよね。

その点、最近流行ってきたサイクリングデッキあたりは新しいカードがふんだんに投入され動きも微妙なギミックが大量でコンボ臭プンプン、しかも環境最強の一角と名高いUGに好相性、しかしパーミッションとの相性はイマイチ。
これがまとまった数出現するとUGは駆逐され下位に溜まるわけですね。
となるとパーミッションは一戦目さえ勝ち上がれれば苦手とするUGへの遭遇率が一挙にさがり、しかもワリと相性のいいデッキと連荘で戦えることになります。
これこそまさに地方メタ

この状態が、コントロールが勝ち抜く上で追い風になっているのは事実です。
でもこれがいつまで続くのか?
それ次第でコントロールの勝率はいくらでも左右されそうな感じです。
実際どうなんでしょう?

僕の思うに、この状態はそう長くは続きません。
そろそろメタの第一段階のデッキが固まりつつある時期です。
新スタンダードになってから新たなデッキを模索していた人々はそろそろ「勝てるデッキ」に帰ってくる頃ですよ。

実際問題として、この記事書いてる間に挟まる形になったフライデーナイトマジックでは、ついぞ見かけなかったUG系のデッキが突然に姿を現し始めイヤな感じです。
こうなるとパーミッションにつらい冬が沖縄にも到来するのはもう間近。
アリさんよろしく冬への備えが重要です。
とはいえ根本的なパワーバランスが変化する訳ではないので、メインから相性の悪いデッキへの対策カードを積むといった姑息な手段で耐性をつける方向で話を進めることになるかもしれません。
それこそメインに《緑の防御円》とか。

というわけでパーミッション好きの皆様に暴風警報。
さあ、パーミッション好きの皆様、このツライ時期を乗り切るキレるアイディアを。