沖縄のメタゲーム〜ローウィン編
                                                                  文:主任@HAMA研

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モーニングタイドが発売されて十日とちょっと。
今回から発売と同時にスタンダード入りという大きな環境変化が。県内各位においても今頃、新環境デッキの調整に余念がないと思われますがいかがなものでしょう。

今年最初のFinals2008店舗予選も近くなり、そろそろ本格的に環境が動き出す頃かと思います。
そこで、この時期に前環境を振り返っておこうかと。
何かの役に立てば幸い。

●2007年都道府県選手権沖縄
兎にも角にも話はココから。
今年は発売スケジュールの都合上、例年よりも一週間遅れての開催となった都道府県選手権。
メタのスタートラインとして大きな要素は例年通り旧ブロックの退場。
特に今回抜けたはラヴニカブロックというのが大きな要素。
マルチカラーゆえの(低コスト+スゴイ威力)というわかりやすい強さのカード群、そしてそれらを無理なく使用可能にする優秀なマナベース。
加えて安いコストで効果的な《稲妻のらせん/Lightning Helix》や《信仰の足枷/Faith's Fetters》といったライフゲインカードに支えられていたソーラーフレアやトリコロールといった中速コントロールは一からの出直しに。

そして今回別の角度から刺さってきた要因が「ローウィンの供給不足」。
背景はどうもよくわからないのでなんともいえませんが、とにかくパックを買おうにも在庫がない。
今回デッキの核になるであろうカードが数多く存在するセットだっただけに、新しくデッキを組もうというプレイヤーには大打撃。

これらが組み合わさった結果出てきたのが「キスキン最強論」。
ビートダウンに対して相性の良かったトリコロール系のデッキが環境から消えてビートダウンに光が当たったこと。
そして都道府県選手権前の各地の大会でキスキンが相応の結果を残したこと。
さらにこのデッキが単色で主要パーツがコモンとアンコモンに集中しているため、カードが集めやすいこと。

この背景があって「キスキンに勝てないデッキは人にあらず」という風潮が形成されていました。
2007年10月28日都道府県選手権沖縄 10位 弟子伍號@流派靴べら不敗
白単キスキン


しかし、そこからメタのねじれがスタート。
徹底したビートダウンメタがスタートし、環境に残されためぼしいライフゲイン手段の筆頭《砂の殉教者/Martyr of Sands》を据えた白単系コントロールが大増殖。

結果、都道府県選手権で勝ち残ったのはGBビートダウンとピクルスが中心に。
2007年10月28日都道府県選手権沖縄 優勝 菊四
GB「T・C・G」

2007年10月28日都道府県選手権沖縄 2位 壱@HAMA研
ステロイド

2007年10月28日都道府県選手権沖縄 3位 たっく@HAMA研
青単ピクルス

2007年10月28日都道府県選手権沖縄 4位 ヒゲ
トリコロール

2007年10月28日都道府県選手権沖縄 5位 竹@HAMA研?
GBエルフ

2007年10月28日都道府県選手権沖縄 6位 殴り屋@CORPS。
BRuコントロール

2007年10月28日都道府県選手権沖縄 7位 ケント
BUwティーチング

2007年10月28日都道府県選手権沖縄 8位 永世名人@HAMA研(Can)
Uwピクルス


いわゆる「T・C・G」系×2、ピクルス×2、黒系コントロール×2。
あと、ステロとトリコ。
ここが県内メタの出発点。
キスキンは予想されたほどの結果を残せませんでした。
徹底的にメタられたのはもちろんですが、肝心のローウィンで多色化を支援してくれる土地が出なかったのと環境的に単体除去が強く《ガドック・ティーグ/Gaddock Teeg》が抜けて白単色に傾いていった結果、単色ゆえの不器用さが埋まらなかったのが一つ。
そして序盤で十分なスピードが乗らないとT・C・G相手にサイズ負けすることもあり、ピクルスもバウンス等を多用して序盤を凌げる構成になっていた結果《砂漠/Desert》が越えれなかった。この辺が原因かと。

そしてビートダウンを駆逐すべく大挙して押し寄せた白単系コントロールは勝ちまでに時間がかかり過ぎるので、勝てる形に持ち込んだにも関わらず時間切れで勝ちきれない、他のコントロールデッキと当たったときに耐性が低いなどの欠点が出て、結局的に壮大な同士討ちを繰り返し沈んでいく結果に終わってしまっています。


●FNM&その他
こちらは参照できる結果だけでも結構な数なので、まとめて集計してみました。
結果からいくと勝ち組はT・C・Gとピクルスですね。
いくつか貼り付けときます↓
HAMASAI 10th 予選@ 1位 秋水@HAMA研
GBエルフ

HAMASAI 10th 1位 竹@よせあつめ
GBエルフ

11月16日フライデーナイトマジック 1位 C
Uwピクルス

12月14日フライデーナイトマジック 2位 殴り屋@CORPS。
青単ピクルス


どちらも都道府県選手権からそのままではなく、どんどん形が変わっていきます。
T・C・Gは「《タルモゴイフ/Tarmogoyf》、《獣群の呼び声/Call of the Herd》、《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker》」のうち、《獣群の呼び声/Call of the Herd》が真っ先に抜けています。
思った以上に環境に青が多く、バウンスで簡単に撤去されてしまうトークンを嫌ったのもその原因の一つと思われます。
ピクルスは《レンの地の克服者/Wren's Run Vanquisher》をどう止めるかという点を《時代寄生機/Epochrasite》で解決する方向に流れていきます。
2ターン目に出てきて、《ファイレクシアの鉄足/Phyrexian Ironfoot》ですら相討ちに持ち込むのがやっとのこのクリーチャーはT・C・Gというパワーカードの集合体をエルフシステムに重きを置く形に変質させるだけのインパクトがあったようです。

もちろんこの二つだけを軸に環境が動いているわけでもなく。
グランプリクラクフの結果を受けて県内にも持ち込まれるようになったのがマネキンと青単パーミッション。
12月アリーナリーグ 1位 T
マネキン

マネキンはアメリカの州選手権ですでに原型ができていたようですが、タイムラグもあってかグランプリ終了まで県内で使用しているプレイヤーは見かけませんでした。
想起でプレイしたクリーチャーを《その場しのぎの人形/Makeshift Mannequin》で使いまわすシンプルな丸儲けエンジン。
相手の《叫び大口/Shriekmaw》だけが確実に腐る構成、デッキの大半が飛行か畏怖を持っていて大量除去を撃っても一人だけ立ち直る。そしてバウンスも多い。
GBエルフなどのクリーチャーデッキに対してやたらと強い構成なので一気に使用者を増やしました。

11月23日フライデーナイトマジック 2位 けんつよ
青単パーミッション

そして同じくGPクラクフで出てきたのがコレ↑通称待ちガイル(ソニブー)。
太古の昔に蔓延った青単のごとく20枚近く搭載されたカウンター。
こちらはやたらとコントロール系に強い。
この二つがほぼ同時に出てきたため、特に一つのタイプに集中するわけでもなく多種多様なデッキが乱立する環境となりました。
隙間を縫うように、黒単コントロール赤単バーンドラゴンストームゴブリンと枚挙に暇がないとはこのこと。
そしてどのデッキもそれなりにキチンと勝ち星を稼いでいます。

その結果、モーニングタイド入り寸前だと「特定の何かに強い」デッキが淘汰され、どのデッキとも戦えはする「受けの広いデッキ」と勝ち筋がハッキリしている「回れば勝つデッキ」の二極化が進んでいるように見えます。
ここで受けの広いデッキ例に引っ張り出すのは《白金の天使/Platinum Angel》コントロール。
1月18日フライデーナイトマジック 1位 T曹長
Uwスタープラチナ

系列としては上で出てきた待ちガイルの遠い子孫に当たると思います。
元々は待ちガイルが対ビートダウンを苦手としていたので、フィニッシャーを《白金の天使/Platinum Angel》にしてコレ守りきったら勝ちじゃね?というところからスタートしてそれでもGBエルフ等が厳しいので《テフェリーの濠/Teferi's Moat》も入って、《天使》守るの大変だから《強き者の優位/Favor of the Mighty》も貼って・・・という感じ。
色々積んだ分、カウンターが減って対コントロール性能が下がっていますがその辺はサイドで調整。
何を相手にしても勝てないまでにも戦える、そして勝ちパターンがある。
そういう意味では後期型のGBエルフもそんな感じですね。。
サイドも合わせれば色々と対処できる。

逆に回れば勝ちデッキの筆頭がリアニメイト。
1月アリーナリーグ 1位 主水@HAMA研
UBリアニメイト

このレシピはFinals2007優勝のほぼコピー。こちらはマネキンの子孫に当たるんでしょうかね。
確実に儲かるものの勝ち筋が細いマネキンと同じ「想起からの吊り上げ」だけでなく、積極的にデカブツも埋めて釣り上げてしまおうというコンセプトの強化型。
昔のリアニメイトと比較すると、釣り上げ手段が4マナからしかないのでリフトアップはそんなに早くはないですがデカブツを埋めるための共鳴者のスペックが段違い。《ウーナのうろつく者/Oona's Prowler》や《難問のスフィンクス/Vexing Sphinx》はそいつら自身が凶器なので全体のスピードとしてはおさおさ見劣りしません。

それほどスピードはないものの、回れば勝ちという範疇に入りそうなデッキがビッグマナ。
12月アリーナリーグ 3位 ケント
GRビッグマナ

序盤はマナブーストと除去。マナが貯まったらデカブツ。
この手のデッキは昔からドローが噛み合わないとマナだけ出て死ぬか、デカブツが腐って死ぬかの二択が多く安定感に欠けたものですが緑らしからぬドロー強化《調和/Harmonize》とインスタント&大量除去まで兼ねる《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite》のお陰で立派なデッキに。
そこへきてもう一つの大量除去《溶鉄の災難/Molten Disaster》はなぜかカウンターされない最終火力にもなるので青相手にも充分勝負できる優れもの。
必要マナが確保できれば何にでも勝てる、そんな感じ。(もちろん相性の悪いデッキもありますけど)

そんなカオスな世界がモーニングタイド前夜の風景。

そして今回から20日も早く新セットがスタンダードに入ってくことになって一発目のFNMはさすがに参加者不足でしたが強いのでは?と目されるデッキタイプがいくつも出てきているなかなか濃い内容でした。あとは参加者数がついてくると言うことないんですが。

県内ではもう一つメジャーになりきれてなかったフェアリーやゴブリンを強化するカードがモーニングタイドには含まれているので、その辺のデッキが火を吹くのかどうかが気になるところ。
個人的には素直に勝ち上がってくるんじゃないかと思ってますけど。
昨今では地に潜っていたキスキンにも復権の可能性がありますし。

ただ、その手のビートダウンが強化されるとそれらをお客さんとするボードコントロールデッキが数を増やすのも世の理。
となると再びピクルスが出てきて〜といういたちごっこのループが再開する可能性もあるのでなんとも言えませんね。

まだまだスタートしたばかりの新環境、何が出てきても驚くに値しないので逆に言えば好きなことを片っ端からやってけばいいってコトでもあります。
またここから県内環境が盛り上がっていくのを切に願うばかりですね。

それでは、近いところだとコロッセオかFinals予選あたりでしょうか?大会で皆様とお会いできますように・・・というところで。