沖縄のメタゲーム 〜カウンターサイカ〜 文:主任@HAMA研 |
04/28更新分 05/20追加分 |
トーメント参入前は環境の頂点に立っていたカウンターサイカ。 参入直後は《チェイナーの布告》の参入でデッキタイプそのものの存続が危ぶまれていましたがものともせずに相変わらず環境で生き残っているようで。 とはいえ以前のままではなく、しっかりと環境に適応して新たな形になっているようです。 そこで 1.青黒サイカトグ 2.サイカトグタッチ緑 の二つに分けて話を進めたいと思います。 |
1.青黒サイカトグ |
これこそ前環境のサイカトグの直系の子孫と言ってよいでしょう。 純粋に青黒でバウンスとカウンターで場をコントロール、ドロー強化でモリモリ墓地にカードを積み上げ《サイカトグ》を一気に巨大化してフィニッシュというプランには何の変更もありません。 《欠点》 《チェイナーの布告》により《サイカトグ》もメインから除去されることが多くなってきました。 更にステロのメインでの《ヤヴィマヤの蛮族》の採用、《隕石の嵐》の投入などカウンターとバウンスだけでは捌ききれない物体が増えすぎたのも逆風でしょう。 まだそれほど成功を収めているわけではないようですが手札破壊重視の黒系コントロールもスタンダードには増えてきました。 このタイプには直接除去を持たない青黒のパーミッションにとって癌ともいってもよい《陰謀団の先手ブレイズ》が入っていることも多いので非常に厳しいでしょう。 《その対策》 そこで以前にくらべてクリーチャー数を増やして《布告》の効きを悪くする方法で対処しているデッキが多くなってきたようです。 《夜景学院の使い魔》でマナ加速兼ブロッカーで加えているもの、クリーチャー自体は《サイカトグ》だけでも《ゾンビの横行》で手札をトークンに変換するもの、追加のドローエンジンを兼ねて《影魔道士の浸透者》を積んでいるものなど様々に分化していますが皆一様に初期の《激動》を入れたタイプに戻っているようです。 青黒では捌ききれない物体の対処としてはリセットしかないということでしょうか。 もともと《ゾンビの横行》《サイカトグ》とは相性がよいので以前ほど《サイカトグ》の生息していない今なら問題なく投入してよいでしょう。 というより入ってないと対処できないデッキが環境に溢れ過ぎています。 で、《激動》との相性もあってカウンターを《蝕み》から《堂々巡り》に変えてリセット後の安定度を重視しているもの、このタイプはドローエンジンも《強迫的な捜索》や《強制》といったディスカードエンジンとの相性の良いパーツを採用しているものがほとんどですが純粋青黒のサイカではイチバン主流なようです。 バウンスで除去できないクリーチャー用に《チェイナーの布告》を自分で使用することも増えているようです。 《カウンターを抜く》 カウンターできない物体が増えているのなら、カウンターを最低限に押さえて手札破壊と除去に寄せてしまう手もありはします。 この形になるとカウンターが《堂々巡り》だけになっているもの、あるいは0枚で手札破壊のみに専念して《陰謀団の先手ブレイズ》でロックに持ち込むものなどのタイプがありますが、その辺はもはやカウンターサイカのカテゴリから外れてしまうのであまり詳しくは書けませんが、メインではそれなりに成果を残しているようです。 でも黒に寄せているため《たい肥》で完封されて沈んでいくのは黒単コントロールとほぼ同じようです。 全体として青黒のサイカトグはその数を減らしています。 ステロの台頭とそれにともないエンチャントが増加した環境では有効なエンチャント対策を持たないこの色の組み合わせにとって厳しいものがあるのでしょう。 実際に使ってみると以前ほどの無敵ぶりは感じられません。 とはいえこのバージョンには《激動》からの《サイカトグ》《ゾンビの横行》という勝ちに至る黄金パターンがあり、この形にハメきることさえできればかなり不利な状況でもひっくり返すことができます。 パッチバーンのように徹頭徹尾相性が悪いデッキもあったりはしますが爆発力は結構なものです。 パーミッションに自身のある人が使えばまだまだかなりの可能性があるのではないでしょうか。 |
2.サイカトグタッチ緑 |
サイカトグタッチ緑ですがこれ、サイカトグとは名ばかりでかつてのカウンターモンガーに《サイカトグ》を追加しただけのデッキだったりするので上の青黒サイカとはかなり違う動きをみせます。 どちらかといえばかつてのヨーロピアンブルーに近い形で場を制圧します。 序盤をカウンターで耐え《破滅的な行為》からフィニッシャーにつないで後は殴りきるまでの短い時間カウンターで耐え切るという例の動きです。 《欠点》 なによりも三色であるというのが最大の欠点でしょうがこればかりはデッキの宿命なのでどうにもなりません。 がんばって土地を調整するしかないでしょう。 あとコントロールデッキの宿命ですが遅いです。 一戦目ねばってから負けてしまうと二戦目はドローになってしまうことを覚悟しなくてはいけないかも知れません。 それはコントロールデッキ全てに言えることではありますが。 しかし、遅いのは覚悟の上で色事故さえクリアできれば欠点らしい欠点はそんなに無いデッキではあります。 《環境への適応》 しかし、このデッキも以前のままのカウンターモンガーのフィニッシャーを《サイカトグ》に差し替えただけのデッキでは青黒サイカと同じように増加した火力や《チェイナーの布告》にやられてしまうのでそれなりの対策を講じています。 《チェイナーの布告》に対してクリーチャーを増やして対処するのは定石ですがタッチ緑にしている利点として《神秘の蛇》があります。 クリーチャーにしてカウンターであるこの一枚が使えるメリットは大変なものです。 《火力対策》 火力に対してはこのデッキ、青黒よりもサイカトグが守りにくいのは確かです。 三色になっている関係上、《サイカトグ》を守るために手札に土地を貯めるというのがやりづらい、事故防止に土地を多めにしているため軽量ドロー強化が大量投入できないので青黒ほど墓地が肥えないというのがその理由です。 パッチバーンが横行する現状、サイカだけで蹴りをつけるのを諦めて《魂売り》を併用するデッキも多いようです。 まず燃えることはありませんし、コイツが一体立っているだけでステロがピタリと止まることも少なくありません。 《事故を回避》 なんといっても三色なので事故は避けて通れません。 しかし可能性を下げる努力はして当然です。 アプローチとしては色拘束のキツいカードを切ってしまう方法と、一色を限界まで切り詰める方法とが主流です。 前者は《蝕み》を《堂々巡り》《中略》にするなどしてダブルシンボルのカードを減らし、その分《破滅的な行為》を貼りやすくすることでカウンターのパワーダウンをカバー、このタイプは序盤の薄さをクリーチャーを増やしてブロッカーで耐える方法を併用するのがほとんどです。 後者の場合、緑のカードを《破滅的な行為》だけに押さえるなどしてその分カウンターと除去を厚くして緑マナが出るまで耐えるという構造を採ります。 |
どちらのタイプもカウンターが主軸のデッキなので極端にカウンターメタのデッキに当たらない限り幅広く様々なデッキと渡りあうことができます。 そのなかでも逆転の要素があるのは青黒、より受けの広いのが青黒緑とどちらも個性があるので地元のメタ、自分のスタイルにあったデッキを選択するのが一番よいのでは。 ただ個人的な意見を言わせてもらえば青の多い沖縄には同じくらいの数、青を殺しに来るステロ系のデッキがいるものです。 露骨な青殺しにハマらずに済みそうなタッチ緑の方が楽に戦えるのではないでしょうか。 |
サイドボード |
《青黒》 もともとがカウンターデッキなのであまり斬新なカードを投入する余地は無いでしょう。 ステロ対策の《冬眠》《殺戮》、パーミッションとコントロールを破綻させる《ロボトミー》、同じく長丁場になるデッキにはよく効く《消えないこだま》、赤バーンにもパーミッションにも嫌がられる《撹乱》《方向転換》、最近では対特定の色いじめ用に《現実の修正》などが入ることも増えたようです。 あとはパーミッションが多いようなら《強迫》や《反論》、メインで《セファリッドの円形闘技場》をしようしているならコンボ期待で《盗用》まで入れる人もいるようです。 《タッチ緑》 緑が入るならもっとサイドの幅も広がります。 黒相手に《たい肥》の投入、《獣群の呼び声》で《嘘か真か》のカード効率を上げる、ビートダウンデッキを《もつれ》で止める、などがありますが上の青黒のほうに並んでいるカードを押しのけてまで入ることはあまり無いようです。 あと《魂売り》をサイドで追加するのは見かけるほうです。 今まで見た中で一番面白かったのはサイドから《疾風のマングース》や《貪欲なネズミ》などが大量に上がってモンガービートダウンに変形というものでした。 この先、サイカトグ系のデッキが増えるようなら《セファリッドの女帝ラワン》なども考慮に入れてもよいかもしれません。 |
もともと序盤さえ切り抜けてしまえばなんとでもなるデッキです。 しかし、遅いデッキである以上一手の遅れは死に直結します。 サイド後先攻スタートなのか後攻スタートなのかでサイドの形を変えるぐらいのデリケートな扱いこそがこのデッキのサイドボードに真に求められるものでしょう。 |
メインに関する話 |
・青黒サイカ 一時期減少していた青黒のカウンターサイカは今再び一大勢力として一線に返り咲いています。 UGマッドネスなどの台頭でステロそのものが多少数を減らし、以前ほどに露骨に青メタの構成をとらなくなった、ステロ殺しにタッチ緑で《破滅的な行為》を投入したサイカが増えたため同キャラ対戦を見越して色が安定して対同キャラで無駄カードが少ない青黒に流れが戻ったのがその原因のようです。 その構成もちょっと前のデッキとは異なり、多めのドロー強化に大量のバウンスの形をとるものが多いようです。 その分カウンターは以前のものよりも減っていますがその分はより引き増すことでカバーして漏れるクリーチャーは大量のバウンスで対処というスタイルです。 再び《激動》を装備することで様々なデッキに対して一定の勝ち筋を確保することが出来ますが、やはり正確なプレイングが要求されるデッキなのに変わりないので大会に持ち込むならしっかりと練習してからにすることをお薦めします。 あと、UGマッドネス相手の場合押し負けることが結構あるようなのでサイドボードにはしっかり対策をとっておく必要があるでしょう。 ・ タッチ緑 ステロが多かった時期に回答として出現したこのデッキですが、ステロが多少数を減らしたところでこのデッキの強さはほとんど損なわれていません。 しかし、青黒のサイカと対戦する際には多色化したマナベースが多少足を引っ張ることもあるようです。 とはいえプレイングに気をつければUGマッドネスがイヤがるカードをメインで積んでいる分幅広くいろんなデッキと戦えはします。 ただカウンターを積んだよりスピードのあるデッキが増えつつある現状、押され気味の感は否めません。 |
サイドに関する話 |
・ 優先順位の変動 以前はステロ対策がもっとも重要視すべき課題でしたが、この先順調にステロが減っていくようなら最も重要視すべき相手は同キャラとUGです。 実際、沖縄でもジャッジメントがスタンダード入りするまではこの方向でメタが推移するものと予想されます。 となれば青黒だろうとタッチ緑だろうと青への対策が重要ということになります。 相手の色対策カードを無効化する《現実の修正》や場に出て守り切れれば一枚で完封できる《取り憑かれたエイヴン》《セファリッドの女帝ラワン》、根本的な除去力を持たない相手にはただのアドバンテージマシンになる《マーフォークの物あさり》など同キャラを優位に進めて尚且つUGにも耐性をつける幅の広いカードを出来るだけ詰め込みたいものです。 あと《激動》を使うデッキの場合パーミッション相手にムリヤリネジ通すための《枯渇》が使われることが多いようです。 |