沖縄のメタゲーム 〜ステロイド〜 文:主任@HAMA研 |
地区予選も回が進み、メタゲームも2周目に入ってからしばらく経ちました。 いろんなHP上で地区予選に向けてのメタなど様々解説されていますが、沖縄には残念ながら地区予選がやってきません。 それでもDCI公認のトーナメントなどこの先いくつも予定が詰まっているのでスタンダードでプレイする機会も多いかと思われます。 そこで沖縄用のメタを考えてみたいと思います。 すべて僕の偏見で書いているので間違った点もあるかと思いますが、皆さんの構築の一助にでもなってくれれば幸いです。 で、話を進める上で現在中央でメタの中心になっているデッキを避けて通る訳には行きません。 そこでまずはステロイドから。 |
ステロイドの種類 |
現在、ステロイドは大きく分けて3つに分類できるかと思います。 1. ステロイド・・・昔ながらのオーソドックスなステロイド。 2. ロケットシューズ・・・クリーチャーを軽めのモノにシフトして強化呪文で大きくして速攻性を高めたモノ。 3. ステロバーン・・・ステロイドよりも大量の火力で相手を焼殺することを主眼に据えたデッキ。マッドネスの火力を多用するので《野生の雑種犬》に加えて《隕石の嵐》や《パッチワークノーム》をディスカードエンジンとして加えたもの。 大体この3つに分類できるかと思います。 どれもそれなりに安定した強さを誇るのでメタの中心に位置していますが、その分どのデッキもステロ対策が進んでいるので全体としては逆風です。 それでも生き残っているあたりが強さを示していますが。 |
1. ステロイド |
あまりにも対策されすぎていて同キャラにすら切られやすくなってしまったあたりがキツイところでしょうか。 まず、問題点として 1.メタられた結果、環境に《テフェリーの濠》や《崇拝》といったステロ殺しのエンチャントの増加。 2.ステロバーンの台頭で火力も増加しているのでマナクリーチャーを潰されやすく加速できないこと。 この二つを克服することが課題かと思われます。 対策としては 1.にはメインでのエンチャント除去の採用。 2.にはクリーチャーに頼り過ぎないマナ基盤の整備&火力で除去されにくいクリーチャーの投入 などが挙げられるかと。 エンチャント対策には純粋に赤緑なら《雷景学院の戦闘魔道士》の採用、マナ基盤は土地を切り詰めた構成から最低でも土地を22から23枚にして《ラノワールのエルフ》や《極楽鳥》が焼かれても十分なマナを用意する、火力に関しては《カヴーのタイタン》など大型クリーチャーを用意するか《巨大化》系のスペルを用意して燃えにくくするなどがあります。 純粋に緑赤だとコンセプトの関係でこれ以上大幅な変更を加えるのは難しいかところですが、色事故覚悟で三色目を加えて対処することもできるでしょう。 《タッチ白》 あと三色目を散らすなら白を散らして《増進/衰退》を採用、これはエンチャント対策と火力避けを一枚でこなせるのでかなりお買い得です。 サイドボードに更に火力対策を盛り込むことができる上に《復仇》を加えることで《神秘の処罰者》や《魂売り》といった苦手とする巨大生物の除去が可能な点も魅力です。 バウンスがこないことがわかっているなら《アルマジロの外套》も魅力的な選択肢です。 《タッチ黒》 逆に黒を散らすなら《魂売り》を採用して火力に耐性をつけることができるでしょう。 こちらはメインの《戦闘魔道士》のもうひとつのオプションを使用できるし、サイドに《殺戮》が入るので同キャラ対策も楽、パーミッション相手には手札破壊も用意できるので幅広いサイドが可能です。 どちらの色を散らすにしても三色目は《極楽鳥》に頼らず用意できるようにしておくことが重要でしょう。 |
2. ロケットシューズ |
《欠点》 クリーチャーのサイズが小型化している分、1よりも火力に弱くなっています。 このタイプは巨大化系のスペルに《無謀なる突進》を使用していることが多いようですが、このスペルはソーサリーの上にタフネス修正が無いので使ったところで火力で除去されること多数です。 《対策》 多少スピードは落ちてしまいますが《森の力》などを採用して火力避け、相手にブロッカーを立てる時間を与えてしまう分はトランプルでどうにか通して対処する方法が生き残りにはイチバン向いているのではないでしょうか。 《3色目?》 このタイプも三色目が散らせるならそれに越したことは無いでしょうが、最速を追求するこのデッキに三色目を投入するのは少々キツイものがあります。 《戦闘魔道士》ですら重いこのデッキにはメインで腐らないエンチャント除去というと《エルフの抒情詩人》ぐらいしかありませんがあまり優秀なものとは・・・。 この先、思ったほど青が増えずにステロバーンが増え続けるようなら周囲は苦手デッキに埋め尽くされることになり、あまり先は明るくないでしょう。 しかし、青好き日本のなかでも青好き人口比が高めの沖縄においては常に回答になり得るかと思います。 |
3. ステロバーン |
この三つの中ではイチバン新しいタイプであるとはいえ各地の地区予選で頻繁に使用されているのでもう目新しいものとはいえないでしょう。 初速こそロケットシューズにはおよびませんが除去の多さと、並ステロを凌ぐスピード、手数の多さで青にも同キャラにも互角以上に戦っていける点が売りです。 《欠点》 赤バーンに近いデッキだけあって弱点もそのまま引き継いでしまっています。 火力で焼けないクリーチャーを出されるとピタリと止まり、《崇拝》は《防御円》に対して耐性が高いとは言えず、打撃クリーチャーもそんなに多いほうではないので場をリセットされて手札が尽きてしまうと立ち直るのは難しい。 昨今のステロメタはこのデッキを中心に組み立てられているので上記の対策に引っかかりやすい点もマイナスです。 関東予選で一躍脚光を浴びた《隕石の嵐》も純正サイカトグのようにエンチャント除去力を持たないパーミッションの減少と《破滅的な行為》の浮上により登場時ほど活躍することは少なくなってきています。 むしろディスカードエンジンに《パッチワークノーム》を採用しているデッキのほうが最近は好成績を残しているようです。 《パッチワーク・ノーム/Patchwork Gnomes(OD)》 《パッチワークノーム》そのものはそれほど優秀な生物とは言えないものの、ディスカードにマナが要らない、無色である、再生するなどの点が微妙に同キャラ相手のブロッカーとして、《テフェリーの濠》を《雑種犬》以外で突破できるアタッカー、《破滅的な行為》のリセットを何とか潜り抜けるなど役に立つ局面も多いので以後もパッチバーンの方が主流になるんじゃないでしょうか。 《以外と青に弱い?》 最近のタイプはメインで青対策を切ってしまったため、 タッチ緑のパーミッションに《破滅的な行為》や《魂売り》を出されて長引いてしまうと一枚ずつ丁寧に火力をカウンターされきってしまうことも。 メインに再び《ウルザの激怒》を何枚か投入するのがコントロールによりがちな沖縄で生き残る上で有効かもしれません。 |
対策 |
この三つのデッキ全てにおいて1のところで書いた対策がステロメタへの回答として選択肢にありはするものの、2と3のタイプに関してはデッキのコンセプトがスピード重視なので余計な対策カードを積むとその利点を殺してしまうことになりかねません。 かなりメタが進んだ環境でもそれなりに成果を残しているのはこのデッキの芯の強さを証明してくれています。 そこで2と3に関しては対策を完全に切り捨てて加速だけを主軸に据えてチューンするのも対策と考えてもいいでしょう。 《魂売り》《シヴのワーム》《破滅的な行為》が出る頃には手遅れのところまでスピードアップできればそれはそれで勝ちを収めることもできるでしょう。 しかし《テフェリーの濠》や《崇拝》といった苦手とするエンチャントに引っかかってしまうと目も当てられないことになってしまうので最速特化を図る場合、環境に上記のエンチャントを多用するデッキがどのくらいいるのか見極めてから選択しないと悲惨なことになってしまうかもしれません。 |
サイドボード |
《エンチャント対策》 サイド後はますますステロをいじめるエンチャントの量は増えると考えて間違いありません。 その為、どんなに高速特化したデッキでもエンチャント除去をサイドに入れないワケにはいかないでしょう。 現在のステロイドにふさわしいエンチャント除去は何でしょう? 《雷景学院の戦闘魔道士/Thunderscape Battlemage(PL)》 よく目にするものとしては《雷景学院の戦闘魔道士》ですが、コイツはメインで入れておいても腐らないという点において評価の高いカードだと僕は考えています。 しかも4マナの重さを考えると青に対して強いとはおもえないので、これは黒も出せるステロ向き、もしくは補助で使って《戦闘魔道士》以外にも除去を用意するのが正解だと思います。 《解呪/Disenchant(7E)》 もし白が使えるのであれば素直に《解呪》など。 《崇拝》を使うような白がらみのウィニーが多いようなら《オアリムのいかづち》もアリかもしれませんが、現状のメタを考えるとこのタイプがそれほど多いとは思えないのでアーティファクトを割る必要が無いなら《オーラの旋風》、パーミッション相手にスピードを競うことになることを考えると《解呪》か《オーラの旋風》の二つが一番よさそうです。 もちろんメインに《増進/衰退》が四枚入っていないのなら追加をサイドボードに用意しておくのもよいでしょう。 《外殻貫通/Hull Breach(PL)》 白が出ない場合速攻を意図するのであれば《ドルイドの抒情詩人》と《外殻貫通》を用意しておくのも一つの手です。 《エルフの抒情詩人》だと《仕組まれた疫病》に巻き込まれかねないので断固《ドルイド》のほうがお薦めです。 《外殻貫通》は軽さもさることながらエンチャントとアーティファクトを同時に飛ばせるのが魅力です。 最近(オーブ対立)はそれほど見かけないもののいることはいますし、ステロバーンがサイド後変形して《罠の橋》《隕石の嵐》に変形するオプションがあるのを考えると同時に割れて損することは無いでしょう。 《対立対策?》 《対立》といえば《呪文散らしのケンタウロス》がよくサイドで対策に用意されていましたが現状どのくらい効くのでしょうか? 県内で純正青黒のサイカトグを見かける機会は減ってきていますし、《ブレイズ》デッキも最近は補色に白か緑を採用していることが多いので効かない、青白のミルには《神の怒り》カウンターディードには《破滅的な行為》とバウンスに頼りきるデッキは少なくなっているので《対立》を考えないなら外してしまっても問題ないでしょう。 《青対策》 スピードさえ乗れば勝てる青はメインで戦い、少量のイヤガラセカードで相手の手を止めるにとどめておいて(《栄光の代価》など)クリーチャーを完全に除去してくる黒コンなどにスロットを割いた方が良いかも知れません。 《黒対策》 地区予選がスタートするまではかなりの成果が期待されていた黒単コントロールは意外と成果を残せていません。 理由としては相性がよいはずのステロイドがバーンタイプにシフトしてしまったのもありますが何より《たい肥》でアドバンテージを稼がれてしまうのが最大でしょう。 メインでは黒コンが勝ってもサイド後の二戦《たい肥》に完封される展開は少なくありません。 それをふせぐために黒コンも《レガシーの兵器》や多色化など様々な手を尽くしていますがそれでもまだこれが決定打という一枚は発見されていません。 それを踏まえるとステロ側が《たい肥》を入れない理由はありません。 重ねて貼るほど効果がデカイのでスロットのゆるす限りまとまった枚数を投入したいところです。 しかし、いくら引いても黒の脅威となるカードが入っていなければ《消えないこだま》のいいマトになってしまうのでもし火力の少ないデッキであればプロ黒など除去困難なクリーチャーを追加しても良いでしょう。 《ステロイド対策》 あとステロが一大勢力である以上、同キャラ対策は外せません。 よく見るカードとしてはデッキタイプを問わず《シヴのワーム》がありますが、マッドネスバーンやロケットシューズのように相性の悪いデッキにもこれらが投入されているケースが多いのでちょっと考えてみたいところです。 マッドネスバーンならゲートする生物がいないので《シヴのワーム》はあまり相性がよくありませんし、ロケットシューズも5マナ出ないことが多々あるのでツライところ。 緑の比率が少ないなら《翡翠のヒル》、ディスカードエンジンが積んであるなら《ワームの咆哮》など使い分けた方がよいでしょう。 |
ステロイドは間違い無くメタの中心にあります。 ステロイドに勝てないデッキを選択して大会に出てくるプレイヤーはいないでしょう。 とはいえ、そんな環境下でも成果を残しているのは事実です。 まだ当分の間、環境の有力デッキとしての地位は不動でしょう。 しかしそれには変化し続ける環境にあわせて構築しなおしていく必要があるのは当然です。 |
ステロイドの追加分 |
メインに関する話 ・《呪文散らしのケンタウルス》 最初にステロの記事を書いた時点ですでにロケットシューズは数を減らすであろう兆候が見えていましたが、その予測は外れることなく今やほとんど見かけないデッキタイプになってしまいました。 あれからステロバーンが順調に数を増やし続けたのがその要因の一つになっていますが、さらに数を増してきたUGマッドネスに対してもそれほどの優位が取れないことが後押ししている部分もあるかと思われます。 ただでさえ相手に自分よりも一回り大きいクリーチャーを出されると動きの止まりがちなこのデッキでは苦しいでしょう。 ステロ自体も以前に比べれば大分その数を減らしています。 しかも前にも増して環境にバウンスは増えているのに《ヤヴィマヤの蛮族》では突破できないクリーチャーを使用するデッキが多くなっています。 そこで以前デッキから外しても良いと書いた《呪文散らしのケンタウルス》の再採用を検討するべきかも知れません。 ・ 二軍落ち? 上にも書いた通り以前に比べればステロはその数を減らしています。 最近ではどこの大会の上位のデッキを見てもカウンターサイカとUGマッドネスが幅をきかせ、その間にステロイドが挟まっていることが多いです。 あまり相性のよくないデッキの増加し、《激動》を喰らうことも増えたのでマナさえ並べばというタイプでも勝つのがちょっとむずかしい。 もう中心と呼ぶにはちょっとつらいところへ押しやられつつあるようですが、このまま消えてしまうことはまずないでしょう。 何よりもその扱いやすさはそれだけで選択に値します。 そしてスピードさえ乗れば何にも勝てることには変わりなく、環境はトーメント参入直前のようにカウンターサイカがその勢力を伸ばしています。 もちろん、前とは違ってカウンタートレンチやUGマッドネスという新たな対抗馬もいますがサイカが勢力を伸ばしたときにそれを切って捨てたのはアンチ青にシフトしたステロでした。 極端にアンチ青にシフトしたデッキで生き残れるほど二極化した前の環境ほどの成果は望めませんが、それでも回答になり得るとは思います。 この先、更にサイカが勢力を伸ばすようなら以前のようにサイカ殺しの頂点に復帰することもあるかと。 サイドに関する話 ・ 青対策 以前なら除去困難なクリーチャーを並べてやるだけでそのスピードを十分に活かすことが出来ましたが、俄かにリセットの増加した現環境ではそれだけでは多少苦しいものになることが予想されます。特に《激動》あたりが筆頭。 そこでパーマネントだけでなくスペル、特にインスタントで相手にイヤガラセを敢行しないことには一方的にこちらが優位という形には持ち込めません。 メイン、サイドを問わずに《ウルザの激怒》の価値は再び上がっているものと思われます。 とはいえ《ウルザの激怒》はメインで採用することが多いと思われるので更にもう一押し何かが欲しいところ。 《激動》や《嘘か真か》に重ねて打てば露骨にイヤな顔をされる《突然の衝撃》やら逆転呪文を素直に打たせてやらないための《溶岩操作》《魔道士の競演》などとにかく相手が立ち直るきっかけを挫く何らかの妨害手段を用意するとそれらを多用してくるデッキとのマッチアップをこちらに有利な方向によせることができるかも知れません。 ・ UGマッドネス メインでもなかなかに相性の悪いこのデッキはサイド後ますますデカブツが増えるので、より鬱陶しいことになります。 最近ではタッチ赤やタッチ白のUGマッドネスも増えてきているのでそれほど有効ではなくなるかも知れませんが《呪文散らしのケンタウルス》は入れてもいいのでは。 特に《霊気の噴出》を使ってくるタイプがかなりあるうえに、へたをすると《不自然な淘汰》まで貼られてこちらのクリーチャーを完封される恐れも有ります。 あとは純粋な赤緑のステロイドではかなり難しいものがありますが大型の生物除去が欲しいところ。 特に《ワームの咆哮》の6/6トークンに並ばれると手が出せないので、4点以上の火力を多めに入れる、タッチ白か黒でデカブツを取れるようにする、もしくは《罠の橋》でデカブツを止めている隙に焼き殺すなど何らかの対策をしないことには勝ち残るのは難しいでしょう。 |